取材される側にとってみれば、宣伝としての価値があるでしょうが、読者にとってみれば、まさか宣伝とは思わずに読んでいるわけですから一種の詐欺。こんなことやっていたら、いずれ雑誌自体の信用も失って、雑誌を誰も手に取らなくなるんじゃないかな。
もっともここまで悪質ではないにしても、似たようなことはどこの雑誌出版社もやっているのは、みなさん御承知の通り。旅館を特集した記事を書く場合は、誌面に掲載する旅館から宣伝費を徴収する、とか。
メディア関係者の似たような詐欺商法に誘われた経験が、そう言えば私にもありました。
有楽町駅近くにある交通会館の前を歩いていた時のことです。
「失礼ですが、少しお話、よろしいでしょうか?」
あれはとある夏の日曜日、14時頃だったと思います。三省堂で本を買って帰ろうとした私を、スーツ姿の30代の男性が呼び止めました。
まともなサラリーマン風なので、宗教の勧誘ではなさそうです。何かのセールスなのだろうか、投資用マンションの販売だろうか、それとも宝石や絵画の押し売りだろうか……と束の間、躊躇しましたが、暇だったため話を聞くことにしました。
私「なんでしょ?」
男「私、放映プロジェクトの○○と申します」
その時にもらった名刺がこちら(私はなんでも保管する癖があるので、名刺は今でも保管しています)。
「私、芸能人のスカウトをしております。放映プロジェクトというのは、芸能プロダクションの一つでございまして……」
と、説明を始めました。
要約すると、私の雰囲気がとても魅力的だ、セクシーだと。タレント向きだと思うので、是非うちのタレントとして働いてほしい、ついては、まずプロダクションの面接に来てほしい、というお誘いでした。
ねーよw
そりゃぁね。イケメン扱いされている某タレントをテレビで観ながら、
「俺はあいつよりもマシなはずだ!」
とかジョークで友達に言っちゃったりすることはあったかもしれませんが、自分がタレントとして通用すると思うほど、うぬぼれちゃいない。
彼は個人携帯番号を名刺にメモして私に渡して、
「面接を受ける気があれば、是非連絡をしてほしい」
と言って去っていきました。
別れた後、彼に連絡するつもりはありませんでした。帰宅後ネットで調べてみました。今はググると、いろいろと書かれてしまってます(笑)が、当時はそれほど悪い噂はネットにありませんでした。
それでも疑惑はぬぐえませんでした。なぜ俺に?
ところが時間が経つにつれて、不安よりも好奇心が勝ってきました。芸能プロダクションの中に入ることなんて、滅多にないじゃないですか。たとえ騙されても、面白いじゃん。この日本で、誘われて着いていった先で命が奪われることはなかろうし。
そこで彼に連絡をして会う段取りをつけて、初めて会った日から一週間後の午後3時に事務所へうかがいましたよ。
まず、名前をマジックで書いたプレートを持たされ、上半身のスナップ写真を撮られました。それから芸能人が私と同じようなポーズで撮った大量のスナップ写真集を見せられました。その中には若かりし頃のタモリまでいました。へぇ。
そして、受けた説明によると。
- 放映プロジェクトは老舗の芸能プロダクション。今活躍しているタレントは、ほとんどが放映プロジェクトと何らかの関わりがある。この芸能人もそうだ。あの芸能人もそうだ(と説明しつつ、スナップ写真を次々に見せてくれる)。
- 最初は皆無名。まずは『タレント名鑑』に写真とプロフィール、名前を載せる必要がある。これが芸能界に入るための、最初の関門。
- 『タレント名鑑』のページ数には限りがある。タレント名鑑に載せられるタレントは、端役も含めて約1万人。多いと思うかもしれないが、これには映画のエキストラもすべて含めてのものであり、弱小プロダクションは、ここに所属タレント名を載せることでまず苦戦する。
- 放映プロジェクトは、老舗のため枠を確保している。未活躍のタレントでも数多く載せることができる。スカウトが街を歩き、これはと思ったダイヤの原石をスカウトして、余った枠にどんどん登録してしまう。未経験でも構わない。これから売っていく。
- ただ最初に登録料は必要。タレント名鑑に載せてやるから、10万円払え。
最後までフムフム、と頷いていましたが、最後にスカウトが言った言葉にまで頷くほど馬鹿じゃありません。頷くのをやめ、「少し考えさせてほしい」と答え、その場はお茶を濁しました。
もちろん、考えるまでもありません。即刻却下ですよ。却下。
こんな1万人が載る電話帳のような雑誌に写真を載せるために、10万円もの大金を出せるわけがないじゃないですか。10万円あれば、海外旅行で豪遊できます。
ちなみに、私をスカウトした理由を尋ねてみました。
なんでも、今のタレントには30代の色気のある層が手薄なのだそうです。ジャニーズではなく、ちょっと癖のある男っぽい男性タレントが不足していて、それが私なのだそうです。
ふーん。
褒められて嫌な気持ちはしませんでした。
ちなみに、私をスカウトした理由を尋ねてみました。
なんでも、今のタレントには30代の色気のある層が手薄なのだそうです。ジャニーズではなく、ちょっと癖のある男っぽい男性タレントが不足していて、それが私なのだそうです。
ふーん。
褒められて嫌な気持ちはしませんでした。
「それじゃぁ、登録する気になったら連絡してください!」
と、私が断ったにも関わらず、スカウトマンは明るく言い放ちました。最初から明るいスカウトでしたが、私からすげなくふられてもめげず、別れ際も機嫌がよかったのはさすが芸能界の住人です。
キャッチセールスや宗教の勧誘員だと、こうはいきませんよ。断るとグダグダと恨み節を述べたりするので、嫌な気持ちになるものですが、この放映プロジェクトでは最後まで不快にならなかったことを、彼らの名誉のためにここに記しましょう。
……それにしても。
キャッチセールスや宗教の勧誘員だと、こうはいきませんよ。断るとグダグダと恨み節を述べたりするので、嫌な気持ちになるものですが、この放映プロジェクトでは最後まで不快にならなかったことを、彼らの名誉のためにここに記しましょう。
……それにしても。
この手の取材商法、登録商法は、我々が思っている以上に世の中にたくさんあるようです。知っていてそれに乗るなら問題ないでしょうが、知らずに騙されてしまうことだけは、さけたいものです。
本日気になった記事はこちら。↓
★ ユーザに錯覚を起こさせて儲けるビジネスのメカニズム
消費者をだまくらかして稼ごうとするのは、出版社や芸能プロダクションだけではなく、IT業界もまたしかり。先日コンプガチャをDeNAとグリーが自主規制しましたけれども、詐欺的なやり口で消費者を利用しよう、という魂胆は、両者に共通しています。
今では大企業となったソフトバンクも、昔はADSLサービスの押し売りをやって、世間を騒がせたものでした。読売新聞や朝日新聞の拡張団の悪辣な手口も、昔はひどいものでした。
何時の世もビジネスは、綺麗ごとばかりではうまくいかない、ということなのでしょう。
★ 今、最も革命的な雑誌は、雑誌『プレジデント』だと思う。
文字通り、「革命的」な内容を保守系の経済誌『プレジデント』が載せているそうです。これまで資本家相手に商売していた経済誌が、今は資本家相手に革命を起こすような、若くて貧しくて無名の人々を相手に商売するようになった、という記事です。
★ ユダヤ人無許可入植地の撤去命令 イスラエル最高裁
ユダヤ人の右翼から批判されることは必至の判決をイスラエルの最高裁が出しました。独裁国では決して起こり得ない判決です。素晴らしい。
★ 風俗と性病の危険性について啓蒙したいこと
数年前までは、男なら風俗に行って当然、というイメージが世論を覆っていました。しかし、ここ数年風潮が変わりました。いいことですね。
★ 3人の妻と24人の子供たちと暮らす男性の日常を捉えた映像
イギリスの話です。日本でも、11人の女性と同居生活を送っていた東京都東大和市の男が以前話題になりましたが、隠れるように生活していたのが印象的でした。イギリスのこちらは、きちんと報道に答え、堂々としていますな。
日本でも藤田隆志という人物が、同じように一夫多妻制を唱えて、バリ島で3人の妻とともに生活しています。世界中で貧富の差が広がる中、昔のような一夫多妻制がこれから増えていくのかも。
★ ユーザに錯覚を起こさせて儲けるビジネスのメカニズム
消費者をだまくらかして稼ごうとするのは、出版社や芸能プロダクションだけではなく、IT業界もまたしかり。先日コンプガチャをDeNAとグリーが自主規制しましたけれども、詐欺的なやり口で消費者を利用しよう、という魂胆は、両者に共通しています。
今では大企業となったソフトバンクも、昔はADSLサービスの押し売りをやって、世間を騒がせたものでした。読売新聞や朝日新聞の拡張団の悪辣な手口も、昔はひどいものでした。
何時の世もビジネスは、綺麗ごとばかりではうまくいかない、ということなのでしょう。
★ 今、最も革命的な雑誌は、雑誌『プレジデント』だと思う。
文字通り、「革命的」な内容を保守系の経済誌『プレジデント』が載せているそうです。これまで資本家相手に商売していた経済誌が、今は資本家相手に革命を起こすような、若くて貧しくて無名の人々を相手に商売するようになった、という記事です。
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数年前までは、男なら風俗に行って当然、というイメージが世論を覆っていました。しかし、ここ数年風潮が変わりました。いいことですね。
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イギリスの話です。日本でも、11人の女性と同居生活を送っていた東京都東大和市の男が以前話題になりましたが、隠れるように生活していたのが印象的でした。イギリスのこちらは、きちんと報道に答え、堂々としていますな。
日本でも藤田隆志という人物が、同じように一夫多妻制を唱えて、バリ島で3人の妻とともに生活しています。世界中で貧富の差が広がる中、昔のような一夫多妻制がこれから増えていくのかも。
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