『トワイライト・サーガ』とは、全世界で驚異的なベストセラーになっている小説のシリーズです。累計で1億部も売り上げたといいますから、その人気のほどが知しれようというもの。
内容を知らない方のために、簡単に解説します。主人公のベラは17歳の少女。転校先で知り合った同級生の少年と恋に落ちましたが、彼は人間ではなく、吸血鬼でした。少年の家族もまた、全員美男美女の吸血鬼です。彼らと少女が織りなす、冒険と恋愛の数々。それが、『トワイライト・サーガ』です。
映画にもなり、全世界で大ヒットしました。作品の著者はステファニー・メイヤーで、この作品は、彼女が見た夢を元に書いたものだそうです。
さて、本日の本題。
この著者が、モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)の熱心な信者であることを、一昨日の記事で取り上げました。なにしろ、プリガムヤング大学というモルモン教の大学の卒業生なのですから、筋金入りです。日本で言えば、創価大学を出るようなものですね。
そのためか『トワイライト・サーガ』には、モルモン教の価値観が、多数含まれているといいます。第553回 「ロムニー候補とモルモン教の現在位置」には、このように紹介されています。
勿論、モルモン教の教義とバンパイヤ思想との間に何か関連があるわけで全くありません。この実に良くできたエンターテイメントが強く持っている、婚前の純潔の重視、一対一の男女関係から婚姻や妊娠出産そして子育てに至る過程の神聖視、飲食物の禁忌などの問題がモルモンの基本的な価値観に合致するということが一つあります。一昨日の記事で、触れたため、昨日は久々に『トワイライト』を読み返しました。
また、主人公の少女が冷静で大人しい努力家に描かれていること、アリゾナ州から西海岸のモルモン教徒の多い地区を舞台にしていること、そして狼をトーテムとするネイティブ・アメリカンに精神的な一体感を持っていることなど、この「トワイライトの世界」に出てくるアイテムの一つ一つがモルモンのカルチャーに重なってくるのです。男性の主人公が医者の一家でボルボの高級車を乗り回しているのも、そうした経済的な成功を目指すことに一点の曇りもないあたりがモルモン的です。
主人公と恋人の吸血鬼の甘酸っぱい恋物語をやや赤面しながら読み直す内に、ハッと気づいたのです。
一昨日の記事で取り上げたもう一つの大ベストセラー、1989年に出版された『7つの習慣』は、モルモン教徒に伝えられた成功のための基本原則を、7つにまとめたものだ、とも言われています。
もしかしたら、『トワイライト』の7人の吸血鬼のキャラクターは、『7つの習慣』を元にキャラを作られているのではないか……。こう思って当てはめていくと、ものの見事に当てはまるのです!!
父 カーライル・カレン=主体性を発揮する (Habit 1 Be Proactive)
カレン一族を率いる父・カーライルは、慈悲の精神の持ち主として描かれます。吸血鬼でありながら、人間の血を飲まずに生きていくことを誓ったために、吸血鬼仲間からは疎まれ、孤立します。しかし、彼自身は、その生き方に誇りを持って数百年、生きてきました。まさに、『7つの習慣』の第1の習慣である、「主体性を発揮する」の体現者と言えましょう。
母 エズミ・カレン=Win-Winを考える (Habit 4 Think Win/Win)
彼女はカレン一族を情熱的な愛情で束ねています。とてもやさしく、ベラとベラのことを快く思わないロザリーに、あるいはエドワードとその恋のライバルのジェイコブに、目を配り、誰もが幸せになる道を常に考えるのが、彼女なのです。第4の習慣である、「Win-Winを考える」の実践者と言えます。
兄 エメット・カレン=刃を研ぐ (Habit 7 Sharpen the Saw)
エメットの特徴として描かれるのは強靭な肉体。彼は並はずれた怪力の持ち主です。『7つの習慣』の最後の習慣である「刃を研ぐ」とは、常に4つの資源(肉体、精神、知性、社会情緒)を鍛える習慣のことです。中でも、運動がいかに大切か、『7つの習慣』ではとても丁寧に説明されています。エメットの肉体、パワーを象徴する習慣だといえます。
姉 ロザリー・ヘイル=重要事項を優先する (Habit 3 Put First Things First)
彼女は不屈の意志の持ち主として描かれます。それを象徴するのが彼女が吸血鬼となったきっかけのエピソードです。酔った婚約者とその仲間によって、殺された彼女は、吸血鬼となったばかりで血の誘惑が強かったにもかかわらず、自分を殺した犯人を、血を吸わず、殺してしまいます。自分の中に、汚れた血を入れたくなかったという理由で。とはいえ、血の乾きに抵抗するなどはなまなかなことではなかったはずです。重要なものは何かを常に意識してブレない彼女は、第3の習慣である「重要事項を優先する」女性の筆頭と言えましょう。
兄 ジャスパー・ヘイル=相乗効果を発揮する (Habit 6 Synergize)
ジャスパーの能力は、他人の心を操ることですが、作品の中でたびたび描かれるのは、大勢の人々の気持ちを落ち着かせたりするシーンです。第6の習慣は「相乗効果を発揮する」と訳されていますが、そもそも "synergize" とは「協力する」という意味。他人と意見が衝突しても、自分を折らず、他人を攻撃せずに第三の道を模索していこうとするこの習慣は、控えめで穏やかなジャスパーの性格を示しているます。
姉 アリス・カレン=目的を持って始める (Habit 2 Begin with the End in Mind)
アリスは予知能力の持ち主です。そして、『7つの習慣』の第2の習慣は「目的を持ってはじめる」と訳されていますが、直訳すれば、「心に到達点を描きながら始めよ」というところです。『7つの習慣』では、「ありたい姿、人生の最後などを脳裏に描いて、今日を生きる」ことが提唱されています。これは、未来のイメージを予知して、今何をすればいいのかを予測して、カレン一族の危機を度々救ったアリスのイメージに相応しいものと言えます。
主人公 エドワード・カレン=理解してから理解される
(Habit 5 Seek First to Understand,Seek First to Understand, Then to Be Understood)
エドワードの能力は、他人の心を読むことです。これが、『7つの習慣』のうちの第5の習慣である「理解してから理解される」であることは言うまでもないでしょう。
いかがでしょうか?
『7つの習慣』の著者がモルモン教徒だというのは、アメリカでは大変な話題となりました。同じモルモン教徒であるステファニー・メイヤーが、読んでいなかったはずがありません。
とすれば、彼女がキャラクターの性格を定める際に、『7つの習慣』を元ネタにした可能性は、十分に考えられますよね。
それにしても、『7つの習慣』も『トワイライト・サーガ』も、どちらも世界中で大ベストセラーになった作品です。誰か1人は、それを指摘しているのではないかと思いまして、
"Twilight(トワイライト) The Seven Habits of Highly Effective People(7つの習慣)"などでGoogle検索してみましたが、全くヒットしません(涙)。
モルモン教を前に押し出せば、読者離れにつながります。2者の関係については、あまり触れられたくないことでしょう。
だからこれまで誰も語って来なかった……のかもしれませんが、2つの世界的大ベストセラーの関係に最初に気づいたのが、もしかして世界で、私だけなのかもしれない……と思うと、ゾクゾクします。
※ちなみに、カレン一族になぜ苗字が違うのが二人ほどるかというと、公的にはヘイル家の二人はエズミの甥と姪ということになっているから。ただこの7人、そもそも血はつながっていません。吸血によって擬似的な家族として暮らしているだけなので、苗字が違うのはそれほど意味はありません。
本日読んで、気になった記事はこちら。↓
★ 日に3時間以上座っていると余命が縮小、たとえ運動していても
日常生活には様々な陥穽が潜んでいます。3時間以上座ることは、からだに悪いのですね。1時間に一度は、運動するようにしなくては。
★ 「電力網の再発明」を狙う、少壮の天才女性科学者
「天才」には憧れます。しかもそれが少女だとしたら。この女性が構想する仕組みには何か凄そうだ、という感想しかわかない自分が歯がゆくなりました。
本当にそれは既存の電力システムを根本から変えるようなインパクトのものなのか、気になります。ダニエル・フォンの名前を、記憶しておこうと思いました。
★ インプラント治療、25%が「施術後に重い症状」
先日レーシックについて記事にしました。
レーシックは人によっては重度の後遺障害をもたらす危険な手術であるということは、知らない人はまったく知らない情報でしたが、このインプラント治療もまた同じ。25%なんて、異常なほど高い数値です。その上、被害の声を上げない患者がその数倍いるとしたら、これはインプラントという治療自体に問題があると考えるべきなのではないでしょうか?
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