2012年8月13日月曜日
人体実験のアルバイト あるいは治験体験談 ③
(昨日の続きです)
まずは、宿泊のない半日の治験です。これは、その後の本格的な治験の前哨戦とでもいうものでした。
もしもここで体調が悪かったり、貧血などだったり、何かの疾患が見つかったりしたら、それ以降の治験には参加できません。
内容は簡単なものでした。腹部に2ccという、ごくごく微量の糖尿治療の薬剤を注射し、それから腕の内側に注射針を打ち込まれます。注射針は刺されたまま8時間、ベッドで待機。2時間おきの採血が行われる、というのがこの実験の概要です。
なぜ刺したままなのか。簡単な話で、2時間ごとに採血のたびに血を抜かれるのですが、そのたびに注射針を刺すのは手間だし、皮膚も傷つきます。そこで、常に刺されっぱなしになっている、という訳です。
時間がくれば固定された注射器の止血弁が外され、採血されます。
ほんの微量ですが、これがなかなか困難でした。というのは、時間が進むに連れて、血が出にくくなるのです。そうすると、
「手をニギニギして」
という指示が出ます。手を握ったり開いたりすると、やがて血流がよくなり、採血は滞りなく進む・・・・・・こういう仕組みでした。
マンガを読んだり枕元のテレビを観たりすることができます。マンガを選ぶために立ち上がる他は、一日中、ベッドの上で寝ている必要があります。筋肉をあまり使いさえしなければ、基本何をしていてもかまいません。
飲み物は、決められた時間にしか飲むことができませんでした。これが意外に辛いことでした。注射針が刺さったままの違和感には、すぐに慣れましたが、のどの渇きには慣れません。そうはいっても、数時間ごとに飲み物を飲むことは許されており、冷蔵庫にある飲み物は、自由に飲んでよい決まりでした。
トイレには自由に行くことができたので、そこにはホッとしました。
夕方に治験が終わり、帰宅を許されました。
特に大きな問題は生じず、私は施設にある信じられないほどの大量のマンガにウキウキしっぱなしでした。タダでこれほどマンガを大量に自由に読めるというのはまさに夢の空間であり、パラダイスと言っていいほどです。
(こんな素晴らしいバイト、ないよな)
というのがそのときの感想。本格的な治験は、その一週間後です。
特に私の身体に異常は見られなかったようで、施設からは、治験開始前日に、引き続き治験に参加してほしい旨の連絡がありました。
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