夜の8時ごろ、仕事帰りに老齢の男性に呼びとめられました。
場所は六本木のAMAND近くの交差点だったでしょうか。
「今、お暇ですか?」
「……なんでしょうか?」
そんな会話で始まった彼との遭遇。男性の年の頃は50を過ぎたばかり。頭は禿げ上がり、背は小柄で155~160センチ、といったところ。
彼は、私に小声で、
「今、私は新規公開株の営業を行っているのです」
と言いました。
道を歩きながら、金融商品に興味をありそうな知的でお金を持っていそうな人に、片っ端から声をかけているというのです。
なんと、自尊心をくすぐられる言葉でしょう。その本音が、
「カネ持ってて頭の悪そうなカモが来た」
だとしても。
路上で金融商品を売ろうとする人間に、まともな人間がいるわけがなく、100%詐欺師です。
こういうヤカラをからかうのは大好きなので、
「とても興味があります」
と重々しくうなずいて、話を聞くことにしました。
一番の興味は、真面目そうな男性が、どうして詐欺師に身を落としたのということ。私は彼の話をもっと聞いてみたいと思ったのです。
ルノアールという喫茶店に移り、しばらく雑談をしました。最近の日本の政治や、国際情勢などです。しばらくして、彼と同じ年頃の中年男性が到着しました。
携帯で、別の男性を呼んでいたのは知っていたので、どんな男性が来るのだろうと興味津々でしたが、没個性の、地方金融機関を大過なく勤めあげました、とでもいうような、メガネを掛けた禿頭の男性だったのには拍子抜けしました。強面のヤクザ風の男でも来るだろうと予測していたのですが。
そこから、二人がかりで説得が始まりました。
「新規未公開株というのは、通常は証券会社が窓口になるのですが、そうするとかなりの手数料を取られます。資金力の無い企業にとっては、それが大変な苦痛なのです。だから、手数料が惜しい新興企業は、我々のような、元金融マンのロートルを使って、地道に営業で新規未公開株の引受手を捕まえようとしているのです。
未公開株の説明書が、これです。
未公開株を売り出す株式会社ピーコムというのはまともそうですが、それを売買する会社のネーミングが、
「株式会社ゴールデンマーケット」(笑)。
怪しすぎますよね?
「◯◯さん、これはチャンスなのです」
「本来だったら80万円のところですが、特別に分割して、30万円で現在販売しています」
と何度も勧められます。
そして出てくるいろいろな資料。
まず大爆笑したのが、今回の目玉であるパチンコ会社ピーカムが扱うという新製品です。
その名もパチロット!!
なんとういうか、いろいろな意味で脱力しました。
(明日に続きます)
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