本日は、インドの新聞、India Todayの記事 「暴力の背後にある真実の究明を マルチ会長鈴木修、政府に語る」(2012年8月26日)をご紹介します。
「スズキ株式会社」という自動車を作っている企業があります。
日本では軽自動車の販売台数1位の大手企業ですが、それに飽き足らず、まだインドがそれほど発展していない時期にいち早くインドに進出して、工場を建て、大成功を納めました。
ところが、今年の7月18日、工場で暴動が発生しました。
従業員100人が工場に火をつけて暴れ、幹部職員一人が亡くなる、という痛ましい事故に発展したのです。
スズキの経営に打撃 インド工場、暴動で停止続く
そのあとの続報になります。
日本のスズキ会長である鈴木修氏は、8月25日の土曜日、スズキのマネサール工場で大規模な暴動を引き起こした原因の追求をハリヤナ州政府に要請した。
鈴木氏はニューデリーでブーヒンダー=シン=フーダ・ハリヤナ州知事と会談。暴動特別調査チームが破壊活動の背後にある動機を解き明かしてくれるに違いないと語る同時に、鈴木氏は、今回の事件と操業停止によって会社が受けた被害に対する州政府の援助に感謝すると述べた。
鈴木氏は8月28日、鈴木自動車のインド支社であるマルチ・スズキの年一度の総会に出席するため、インドに一週間以上滞在する。
インドの共同事業者であるR.C.バルガヴァ・マルチ・スズキ・インディア社長は、スズキ自動車会長と共に懇親会を開催した。もちろんマネサール暴動もそこで話し合われた、と彼は述べた。取締役専務役員の中西真三氏も、この懇親会に出席している。
バルガヴァ氏は、グジャラート州でのマルチ・スズキ・インディア社の投資は会社の発展に必要不可欠な計画の一部であると述べた。ハリヤナ州知事もこれに同意。「我々はマネサールで毅然として操業を続けていく」と述べた。
また、自動車製造もマネサールで再開すること、ハリヤナ州はマルチ・スズキ・インディアにとって「創業地」であることを述べた。
ハリヤナ州にマルチ・スズキ・インディアが約束したことは今までどおり間違いなく続けられることであり、これが、グルガーオンとマネサールにマルチ・スズキが国際調査会社や研究所を、タイヤ工場をIMTロータックに建てる理由であり、作業はすでに始まっていると述べた。
このニュースは結構日本でも報道されているので、ここでわざわざ紹介する必要はないかもしれませんが、いろいろな日本語記事がある分、翻訳は助かりました(笑)。
なにしろ、基礎的知識が私にないため、一つ一つ調べないといけません。
なぜスズキなのに、インドの子会社が「マルチ・スズキ・インディア」という名前になっているのか、でつまづきます。
マルチというのが地名か、人名かで悩みます。
辞書を引いても単語が出てきません。
そのあと、社名の一部じゃないか、と思いつくまで小一時間。
「マルチ」はインドの風の神様の名前であり、そこからスズキは社名をとったそうです。
そうすると、マルチ商法は風のような商法という事か……失礼しました。
さて、話を戻します。今回のインドの暴動の背後には、毛沢東主義者の暗躍があると言われています。
経済発展と共に、発展する人々と、それに取り残される人々が出てきました。
取り残された人々にとってはもどかしい思いが溜まり、不満は募る一方です。
それに対して、
「全て壊してしまおうよ。金持ちや支配者たちは皆殺しにしてやろうよ。俺たち貧乏人が天下をとってやろうよ」
とささやくのが、毛沢東主義者たちです。
憎むべき相手ではあるのですが、彼らがインドで支持を受けるのも、しょうがないかな、と思うほど、インドで貧民層が受ける受難は大きいのです。
インドで特権を握る、金持ちやバラモン階級などの人々は、時にとても横暴です。
インドはカースト制度の発祥の地であり、差別が根強く残っています。
毎年何百人という人々が、この因習のために、「名誉殺人」と呼ばれる行為などの犠牲になっています。
これを打ち壊すためには、共産主義革命のような荒療治が、もしかしたら、大変効果的なのかもしれません。
実際、今回の暴動で、スズキは社員の待遇を改善したそうです。
大勢の契約社員を正規社員として採用することに決定したといいます。
ある意味、暴動のおかげでしょう。
その代わり、数百人が解雇されたようですが。
しかし、このような暴動を先進資本主義国は否定します。
「衣食足りて礼節を知る」ということわざがあります。
資本主義国は、共産主義革命を否定し、一歩一歩、経済成長を続けることによって、少しずつ生活が改善され民主主義が浸透し、人々の意識改革が進み、格差が解消される、それを待たねばならない、という共通認識を持っています。
効果的であろうとも、悪魔のささやきに乗ってはいけませんね。
鈴木会長が求める原因究明とは、この毛沢東主義者のことを指しているのでしょうか。
それとも、さらにその背後のことなのでしょうか。
毛沢東主義者の背後には共産主義の先輩である中国がいると言われています。
中国は彼らに資金援助をおこない、インドを中国の影響下に置こうとしているのです。
そのターゲットとして、資本主義国であり中国と揉めている日本企業は、格好の的。
果たしてどこまで背後関係が究明されるのか、インド当局の活躍が期待されます(おっと、ホントの新聞記事っぽい締めとなりました)。
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