7回目の今日は「Economix 」を紹介します。
ブログを運営しているのは大手新聞社の「The New York Times」です。
経済問題が、日常生活にどのように影響するのかをわかりやすく解説してくれるブログです。
アメリカ版池上彰のようなものでしょうか。
最近の記事で、大変多くのコメントがついていた、
「Behind the ‘People Who Pay No Income Tax’」(「所得税を払わない人々」の背景 2012年9月17日)
の記事の内容を紹介しましょう。
『マザー·ジョーンズ』誌は、インターネット上に、オバマの支持者を激怒させた――つまり、投票者の半分を激怒させた、ミット・ロムニー氏の私的な政治献金者の会合の映像を公開した。『マザー・ジョーンズ』とは、リベラルな思想の持ち主が読者に多いアメリカの政治雑誌です。日本で言えば『AERA』のようなものでしょうか。
ミット・ロムニー氏は、ご存知、共和党から大統領選に出馬表明したオバマ大統領の対抗馬です。
ロムニー氏は、内容的には、それほど難しいことが書いているわけではありません。
「なにがあっても今の大統領に投票する47%の人々がいる」
と語った。
「47%の人々とは、オバマ大統領と行動を共にし、政府に依存し、自分が被害者であると信じ、政府は彼らの面倒をみる義務があると信じ、福祉や食料、家、権利と名のつくものならなんでももらえる権利があると信じる人々だ。政府は彼らを何が何でも庇護するのだ。そして彼らは間違いなく大統領に投票する」
さらに、
「この人々とは、所得税を払わない人々のことだ」
と付け加えた。
私は、上記の後半の部分を問題にしたい。
アメリカの半分の世帯が連邦税を払っていないという点では、ロムニー氏は間違いなく正しい(彼はまた、この世帯が属する保守派の広い層の怒りを呼び起こしている)。しかし、ロムニー氏には、彼らが連邦所得税を払っていない理由についていくつかの重要な視点が欠落している。
党派色がなく、高い評価を得ている税政策センターが、47%という数字を出している。それは2011年の時点であり、実際は46%のことだ。そして、それについて昨年の夏に優れた分析を発表している。
それによれば、連邦所得税を払わない世帯の半数は、彼らが単に貧しすぎる、ということを明らかにしている。税政策センターは、二人の子供を持つ年収26,400ドル(約200万円)の夫婦の例を挙げる。その世帯は、標準課税控除やその他の控除によって納税義務が当然免除されるため、連邦所得税を支払う必要はない。
残りの半分は、税政策センターによれば、税額控除やその他の規定――主に高齢者や低所得勤労者世帯を補助するための規定――を活用する家庭で構成されている。
単刀直入に言えば、彼らは納税義務から逃れた世帯ではない。その中身は、ほとんどは貧困者層であり、比較的低所得な勤労者世帯と高齢者で構成されている。税制度というものは、彼らの負担を軽減するように特別に設計されるものだ。
実際のところ、不況とその余波が、数千万人の労働者を失業や不完全雇用の状態に陥らせ、多くの世帯が連邦所得税を支払うことができなくさせてしまっている。それに加え、ブッシュ減税――児童税控除を二倍にし、その他の控除や免税額を増加し、限界税率を引き下げるという2000年代に共和党政権が可決した制度――は、数百万の家族の連邦所得税負担額を消し去ったのだ。
数千万の家族は連邦所得税を払っていないけれども、実際は給与税、売上税、州税および地方税などなど様々な税金を払わない家庭はないこともまた述べておきたい。
大統領候補のロムニー氏の、
「今の大統領に投票しようとする47%の人々は、連邦税を払っていない、彼らは政府にたかろうとする存在だ」
というオフレコ発言が炎上していまるけれども、連邦税を払っていない人々はなにも悪いことをしているわけではなくて、彼らはとても貧しいんだよ、ということを書いているだけです。
そもそもこのロムニー氏の発言が炎上したのは、貧しい人々、納税義務を果たせていない人々が全員オバマ支持者だ、と決めつけたこと。
それが、ロムニー氏を支持している貧しい人々の怒りをかったことには触れていません。
そこまで考えが至らず、税金を払わない人々はなぜ払えないんだろうね? という素朴なギモンに答えたのが、上記記事でした。
それ、あまりに当然といえば当然すぎる発言だと思うのですけども、それが分かっていない人々に向けて、こうして具体的に、その理由について、述べているのでしょう。
そこから、この「Economix」の読者層が、だいたい分かるように思えます。
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