「猪瀬直樹・東京都知事候補の支援者たちが堂々と選挙違反!」より |
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B 林氏が猪瀬氏と出版社に厳重抗議
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C 文藝春秋社編集部が林氏に話し合いを提案、林氏は懐柔されるつもりはない、とこれを拒否
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D 林氏、『交通事故……』所収の全5事例全ての誤りを指摘した小冊子30冊を作って各方面に配布したが、ほぼ黙殺される
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E 林氏の弾尽きたと判断したのか、猪瀬が第二弾の批判(1995.10)
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F 林氏、雑誌「宝島30」にて詳細に、猪瀬本の過ちを指摘(1995.11)
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G 林氏と猪瀬氏、雑誌「宝島30」誌上で討論したが、紛糾して終了(1996.1)
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H 林氏、上記小冊子を元に下に掲載した本を上梓(1996.3)
G 林氏と猪瀬氏、雑誌「宝島30」誌上で討論したが、紛糾して終了(1996.1)
の続きです。
林氏が指摘することに対して、猪瀬氏と彼が連れてきた二瓶弁護士の反論はお粗末なものでした。
テクニカルタームが間違っていたことに対して、
「あのね、ここには『左折による巻き込み事故』とは書いてあるけれど、『内輪差による事故』とは書いてないでしょ」(猪瀬)
「それは単なる言葉の問題だよ」(二瓶)
という反論にならない反論を行います。
「自転車に刻印された二条のタイヤ痕は、タンクローリーが左折するときの内輪差によって生じたものだった」
と書いていたのは、猪瀬さん、あなたですから!! 残念!!
専門用語の使い方が間違っていれば、そうだと認めればいいのに。
宝島編集部は討論の前に、猪瀬氏のもとを訪れ「自転車は左の前前輪と前後輪でひかれたと説明された」そうです。それを討論の場で確かめられた猪瀬氏は「それは内輪差の説明をするため」だったという意味の分からない言い訳をします。
さらには、死角がどのように動くかについて林氏が、
「二瓶氏の言うとおりだとすると、たしかに交差点の手前でタンクローリーが停車していれば、斜線の部分は見えませんよ」
「しかし車が左折するために前進を始めると徐々にこの死角は狭くなって、手前の横断歩道を越えた時点でなくなるんです。仮に自転車がタンクローリーの左手から来たとしても、運転手は衝突前に充分視認できた。死角の事故なんかじゃまったくありません」
という、もっともな反論を行います。そりゃ、目の前に自転車がきても、分からない運転手は普通いません。
それに対して二瓶弁護士は、
「死角の事故なんて一切言っていない」
という苦し紛れの反論をします。
林氏が、本にそう書かれている、「じゃあ、嘘が書いているということになるね」と畳み掛けたところ、猪瀬氏「嘘とはなんですか、嘘とは」と答えるので精一杯。
二瓶弁護士も
「だからこれはS鑑定に対する私の感想というか、裁判で主張したことを猪瀬さんに伝えたものなんですよ」
という苦し紛れの助け舟を出すだけでした。
結局猪瀬氏はどう結論づけたのか。
「タンクローリーが右の車輪で自転車をひいたことは明らかである」ので、前輪と前前輪との間の内輪差によって、自転車に二箇所傷がついたということを「内輪差」という言葉で説明しただけ、という趣旨にすり替えたのです(「宝島30」)。
私も、このように毎日ブログを書いておりますと、大量の文章が積み重なっていくために、前後矛盾するようなことが出て参ります。そこを、ブログを読んだ人に指摘されることがありますが、その時には指摘されたことを感謝して、訂正に応じるようにしています。
ところが猪瀬氏は、反論自体を丁寧に精査するのではなく、相手との力関係を推し量って、発言権の弱い人間だと怒鳴りつけることで主張を通そうとし、相手が強いとこうやって言葉をすり替えることで、ことを済ませようとするのです。
上杉隆というジャーナリストがおりまして、この手の言い訳をよく行います。
ジャーナリストには、この手合いが多いのでしょうか……。
次第に林氏に反論できなくなった猪瀬氏は、
「あなたは鈴鹿氏の鑑定を直接みずして、自分の本だけを元に判断している、よっていい加減だ」
という、ドキュメンタリー作家としてどうなんだろう? 自分の本に対してプライドはないのか? と首を傾げる発言でなんとか誤魔化そうとして、この討論は終わりました。
……でもね、猪瀬さん。 さきに林氏の鑑定を一つも読まずに林氏を批判したのは、あなたなんですけれどね。
H 林氏、下掲載の書籍を上梓(1996.3)
林氏は一連の応酬をまとめて書籍にしていますが、ここにはその他の、猪瀬氏の犯したミスがいくつも網羅されています。
鈴鹿氏が鑑定をした裁判の結果が出た翌日に運輸省が大型トラックが巻き込み事故を起こさないような対策を取るように指示した、これは鈴鹿氏の功績だ、とかいう主張は噴飯物。運輸省が一裁判の翌日に、省令を出すようなことがあるはずもなく、半年前に決まっていたことを鈴鹿氏の功績に無理やり結びつけてみせるのです。
猪瀬氏の様々な牽強付会ぶりを喝破しているので面白いですよ。
林氏は、猪瀬氏が全共闘運動でアカデミズムを超えられると錯覚したものの、実力、考察が足りないために、権威によりかからねばアカデミズムを引き倒せないというコンプレックスを抱え続けているのではないか、という佐高信の分析を引用しています。
猪瀬氏には、権威へ挑戦しようとするスタンスで大衆を惹きつけるものの、そのために別の権威に頼らなければ自己を主張できない知識不足がと自身の欠如があるのでしょう。
その弱さを糊塗するために、より弱い者を叩いて自分を強く見せよう、という傾向があるように思えてなりません。そして、昨今の発言をみていくと、その傾向は強まりこそすれ、改めようとする気配に乏しいように感じられます。
猪瀬氏にこれから注目していく上で、この傾向を一つの指標として考察するのも、面白いかもしれません。
……ようやく終わった。明日からは別のテーマです。
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