東海地方から東北地方にかけて大雪が降り、交通が寸断されました。
三連休の最終日だったために交通量が多くなかったことは不幸中の幸いでしたが、高速道路は軒並み通行止めとなり、各地でたくさんのスリップ事故が報告されたようです。
今朝窓の外を眺めると、昨晩以上に雪が積もっていました。子どもは喜び、大人は溜息をついたにちがいありません。
雪は古くから人々の生活に影響を与えてきたために、さまざまなエピソードがあります。その中から10の雪にまつわるお話をご紹介することにします。
10. 雪には様々な異称がある
漢語には、雪を表す様々な異称があるのをご存知でしょうか。
・六花(りっか)
六角形の雪の結晶の形から名付けられました。マンガ『BLEACH』のヒロイン、井上織姫の頭につける雪の結晶を模したヘアピンの名前は「盾舜六花」(しゅんしゅんりっか)ですし、『中二病でも恋がしたい!』のヒロインは「小鳥遊六花(たかなしりっか)」といいます。
・風花(かざはな)
晴天時に花びらが舞うようにちらつく雪の形容です。俳人・高浜虚子(たかはまきょし)は、
「ひねもすの 風花淋し からざるや」
「山国の 風花さへも 荒けなく」
など、多くの雪にまつわる句を詠み、その弟子である中村汀女は『風花』という題の句集を出版しました。
・青女(せいじょ)
中国の『淮南子』(えなんじ)という思想書の天文訓篇に、秋が過ぎるにつれて、
「百虫は蟄伏し、居を静かにして戸を閉じ、青女乃ち出でて以って霜雪を降らす」
と書かれています。青女とは雪を降らせる女神のことであり、転じて雪を指すようになりました。
・白魔(はくま)
恐ろしい大雪を悪魔に例えた言葉です。ちなみにアーサー・マッケンという怪奇作家の作品に『白魔』というものがあります。少女がケルトの文化の根強いウェールズの森をさまよいながら、乳母から呪術や儀式を教えられつつ、魔に目覚めていくという話です。雪とは関係ないんですけどね(えっ?)
9. 持てるほど巨大な雪の結晶がある
雪の結晶の大きさは、約0.6mmほどで、ほとんど目に見えません。ただ、視力のいい人には判別できるため、紀元前から美しい六角形の存在はよく知られており、古い記録にも残されています。
ただ、結晶同士がくっつきますと雹になるため、六角形の結晶格子の形を保ったまま、巨大に成長することはめったにありません。
ところが、時には六角形のまま大きく育つことだってあります。これまで記録されてきた中で最大のものは、1887年1月28日にアメリカのモンタナ州で記録された、直径38cm、幅20cmの化け物サイズです。ただ、残念ながら写真は残っていません。
8. 雪に色がつくことがある
雪は本来水が凍ったものでありまして、無色です。ところが空気などの不純物が混ざっているために空気を反射して白く輝きます。
ところが時には、氷雪藻と呼ばれる耐冷性の藻類が雪の上で繁殖して、雪が雪黄色、赤、オレンジ、茶色、緑などのいろいろな色へと変化することがあります。
7. 世界最深の積雪量はアメリカで記録された
日本の北陸地方は世界最高の豪雪地帯ともいわれています。しかし、記録されている世界一の最深積雪量は、アメリカのカリフォルニア州のタマラックという場所で記録されました。なんと1911年3月19日に、11m53cmの積雪を記録したそうです。
6. 一日最高の降雪量記録は日本にあった
山岳地方の降雪量は、地形の関係で異常な記録を叩きだすものです。そこで、山岳地方以外の地域の降雪量についての記録を見ますと、最高の降雪量としては、1946年1月17日に、新潟県妙高市大字関山で記録された210cmというものがありました。一日でそれだけ積もってしまうと、雪の重みで木造建築などはあっというまに潰れてしまうでしょうね。
平野防災担当相が新潟の豪雪被害現場を視察(2012年02月05日)
5. 最も長い雪道
道路に雪が降り、雪で覆われると一本の雪道ができあがります。世界最長の雪道はカナダのオンタリオ州とマニトバ州の間にありまして、なんと全長752kmもの長さの道路が雪で完全にすっぽりと覆われてしまうのだそうで、ギネスにも記録されました。
4月になって通行解除となるまでは、この道によって結ばれた町と町は完全に寸断されてしまいます。航空輸送という方法もありますが、大変割高なのです。
4. 吹雪の威力は爆弾なみ
吹雪は、時には原子爆弾120個分の威力を誇り、一回の吹雪で39万トンもの雪を運ぶことがあります。1888年の吹雪は、アメリカのニュージャージー州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、コネチカット州という広大な範囲に壊滅的な被害を与えました。日本でも2006年豪雪では、死者152名、重傷者902名という大災害が発生しました。
3, 雪上素足ハーフマラソン記録というものがある
オランダにヴィム・ホフという馬鹿やろうがいまして、彼の趣味は素足で雪や氷の上を走り、世界記録を樹立することです。2007年1月26日にフィンランドのオウルという場所で、21.0975kmを2時間16分34秒で走るという記録を打ち立てました。……いろんな記録があるものです。
2. 世界最大の雪の彫刻
中国の黒竜江省ハルビンで2007年に行われた国際氷雪彫刻フェスティバルにて、全長200m、高さ35mという超巨大な雪の彫刻が発表されました。
素晴らしいですね。翌年の北京オリンピックに向けたデモンストレーションだったようです。上げ潮の国には、こういう馬鹿馬鹿しい熱気があって面白いものです。
1. 雪に魅せられた人々がいる
雪の持つ独特な魅力に魅せられた人々は、世界中にいます。アメリカにはウィルソン・A・ベントレー(1865年2月9日~1931年12月23日)という写真家が5,000以上の美しい雪の結晶の写真を発表し続けました。
日本には、中谷宇吉郎という物理学者がいます。彼は世界初の人工雪の開発に成功し、人工スキー場を誕生させる立役者となりました。日本人は雪の研究には大きな足跡を残しており、"Timeline of snowflake research"という年表に最近記録を残しているのはほとんど日本人なのです。
いかがでしょうか。雪にまつわるエトセトラ。本日の雪を眺めながら、上記のエピソードを思い出していただければ幸いです。
参考:Top 10 Fascinating Facts About Snowなど
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