これほど英語学習が推奨されるのは、そこに様々な可能性が秘められているからでしょう。言語をマスターすれば、その言語しか離せない人々とコミュニケーションを取れます。それに、その言語でしか発信されていない情報を得ることができます。
私たちの属する世界が一気に広がりますし、企業にとっては市場の拡大に直結しますから、誰もが狂奔するのも、むべなるかな、です。
ただ、この世界には英語以外にもたくさんの言語が存在します。英語以外の言葉を学ぶとしたら、何を学べばいいのでしょうか。
隣国語である中国語と韓国語が、すぐに思い浮かぶことでしょう。もちろんそれもありです。ただ、中国語や韓国語を話せる人はすでに大勢います。
それよりも日本人話者が少ない言葉をマスターするというのはいかがでしょうか。日本人話者が少ない言語をマスターすると、その日からあなたはキーパーソンとなり、その言語を使わないとできない仕事に就くことすら可能です。
もっとも、言語を仕事に生かすためには、その言葉と一生つきあう覚悟が必要です。たとえば時計の技術を学ぶためにドイツ語を学び、時計作りを生業とした後は、ドイツ語で発表された時計に関する文献や、新しい情報を常に吸収していくことが必要となります。言語を仕事に活かすということは、ただ単語と文法を暗記すれば済む、というものでもありません。
たしかに大変です。でも、努力する価値はあります。
ではどの言語を学べばいいのか……と考えたときに目安になるものが意外にありません。そこで、日本人にとっての覚え安さと、将来性などを天秤にかけながら、ランキングを作ってみました。今後の言語学習に役立てていただければ幸いです。
10.アラビア語
アラビア語が話されている地域には、産油国がひしめいています。最近アメリカでオイルシェールの産出量が爆発的に増えて、相対的に旧産油国の地位が落ちているというニュースが報道されています。
とはいえ、この地域に豊富な石油資源が眠っていることに変わりありません。
「石油」は様々な有機化合物の原料となる万能の物質。今後も重要な資源であり続けるでしょうし、それを算出する地域を統べる人々が日常的に使用する言葉を学べば、エネルギー産業というビッグマネーを生み出すビジネスに携わる可能性を秘めることでしょう。
また、産油国の大金持ちたちは、これまで溜め込んだ資本の投資先を常に探し続けています。彼らに欧米以外の「日本」という選択肢を与えるために、彼らの懐に飛び込ぶための道具が「アラビア語」なのです。
それに、共産主義が力を失った後に、貧しい人々の不満を糾合する世界的広がりを持つ思想は、現在のところイスラム教しかありません。「中東の春」の担い手でもあり、欧米の黒人や西南アジア人、ヒスパニック層の間に、イスラム教は着実に広まりつつあります。
イスラム教ではアラビア語以外でイスラムの教えを学ぶことを原則禁止しています。よって、イスラム教を理解するためにはアラビア語を学ぶことは必須なのです。
それに、この地域では今後人口爆発が予想されています。人口が増える地域は成長率が著しいため、大きなチャンスを生み出します。
「人口動態でみるアラブ世界の民衆蜂起」よりイエメンの人口ピラミッド |
母音が文字に含まれず、子音のみで書かれるのです。たとえば「書かれる」=「KAKARERU」という言葉が、アラビア語では「KKRR」と書かれます。母音は? 記憶を頼りに自分で補って読むのです。
また、地域によって大きく言葉が異なるために、ある地域に行くと、自分の知っているアラビア語ではまったく太刀打ちできなかった、という話もよく効きます。将来性はあるものの、大変学ぶことが難しい言語といえましょう。
9.ロシア語
悪魔が現れ、一つ願いを叶えてやるからその代わりにお前の魂をくれと言われた。というジョークがあるくらい、ロシア語は難しい言葉です。しかもこのジョークは英語圏のものなので、要注意です。
そこで
「俺にロシア語を話せるようにしてくれ」
と頼んだところ、
「魂はいらないから別の願い事を言ってくれ」
と断られた。
通常母語と似た構造の言葉は学びやすいのですが、日本語よりははるかに文法的に似ているはずの英語話者にとっても、ロシア語は大変難しく感じられるようです。その学習の困難は推して知るべし。文字がアルファベットとは異なるキリル文字ですし(PはLと発音するとか、似ているのに別物)、一つの名詞が、なんと、53種類に変化するため、それぞれを覚える必要があります。
ただ、参入障壁が高いということは、それを学ぶ人も少なく、希少価値がある、ということ。これだけの主要国であるにも関わらず、話者が少ないということは、チャンスもそれだけ多いということなります。
ロシアは世界最大の面積を有する国家であり、資源の宝庫ですし、ドストエフスキーという世界最高と評される作家を生み出すほどの思想的な広がりをその文化は有しています。
そしてなにより、日本の隣国です。ロシア語の重要性は、今後ますます増えるでしょう。
8.ドイツ語
昨今のユーロ危機で、ドイツの重要性が高まっているのをご存じの方も多いでしょう。ドイツ語が通じるのはドイツだけではありません。オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ベルギーでも、公用語になっています。
どの国も欧州の中で比較的健全な財政を運営しています。ドイツ語圏の優秀性は群を抜いています。
それに、ドイツ語圏からはへーゲル、ゲーテをはじめとするきらめくような近代思想家が生まれました。この言葉をマスターすれば、彼らの思想に直に触れることができるのです。
それに、ドイツ語は英語に比べると文法に融通がきくのをご存じでしょうか。日本語は語順が多少変わっても理解可能な言語ですが、ドイツ語も同じように、述語である動詞を文末に持ってくることがあります。英語の融通の聞かない語順にいらだつ日本人にとって、とっつきやすいかもしれません。
新しいモノを表現するのに全く新しい単語を生み出すのではなく、既存の単造同士ををくっつけて表すのがドイツ語の造語法です。たとえば労働はArbeitであり、gebenが与える、人は~erとなりますので、雇い主はArbeitgeberとなります。
基本語を使いまわして単語を作るため、単語の学習が楽な言葉です。ただ、やたらと単語が長くなるという欠点があります。
7.カンボジア語
カンボジア語の魅力は、なんといってもその将来性です。
この国では、人類史上最悪ともいわれるポル・ポト派のジェノサイドによって1975年から1979年までの4年間で200万人もの人間が亡くなりました。そのため、人工分布図はこのようにいびつな構成になっています。
「人口ボーナス」という考え方があり、生産年齢人口(働くことが出来る人々)が従属人口(子どもや高齢者)の2倍以上になる時期には、高い経済成長がもたらされます。カンボジアでは、それが2045年まで、ゆるやかに上昇し続けるのです。
しかもこの地域には、日本のODAが多く注ぎ込まれています。現地の民法を始めとする法律の制定に、日本人が大きな役割を果たしています。
そのため日本人に親近感をもっていただいており、日本では韓国系とみなされるパチンコグループまでもが日系企業を名乗って進出してるほどです。
★ マルハン・カンボジアに銀行オープン
日本人の若者が活躍出来る場所であるといえましょう。
言葉も簡単です。孤立語という中国語と似た構造をしていて、助詞や前置詞を覚える必要がありません。語順で主語、述語、目的語が決まります。
そして、声調がありません。中国語は、同じmaでも、母音に異なる4種類の音程がつくのに、カンボジア語にはそれがないのです。
ただ、母音が24個もあるんですよね……。
6.スペイン語
スペイン語が話されているのはスペインだけだと勘違いしている人も多いようですが、中米、南米、それにアフリカの赤道ギニアなどにも大勢の話者がいる、大変広大な地域で話されている言語です。
スペイン語は母音が5つしかなく、日本人にとって学びやすい言葉です。逆に英語話者にとっては発音しづらいそうで、日本人とアメリカ人がメキシコの語学学校でスペイン語を学ぶと、アメリカ人が日本人の発音の上達ぶりに目を丸くする、という話をよく聞きます。アメリカ人には、スペイン語の平坦な発音が難しいらしいのです。不思議ですね。
アメリカには大勢のヒスパニックが中南米から移住してきています。現在黒人よりも多く、将来的には白人を抜き去る予定であり、いずれアメリカはスペイン語系の国家となるでしょう。その結果、将来的に南北アメリカが(100年後くらいに)統一国家となるなんてこともありえます。
他国語を学びたがらないアメリカ人ですら、スペイン語を学ぶ人々が年々増加しています。これから世界でますます重要となってくる言葉であることに間違いありません。
文法は英語と似ているため、英語を少しでも学習した人にとっては、学びやすい言葉です。日本にも大勢の南米人が働きにきています。彼らは大変明るいので、彼らとのコミュニケーションは楽しいものになるはずです。
……さて、ここから悲しいお話です。
このあと、学ぶべき言語について、5番目から1番目まですでに文章を書いていたにも関わらず、操作を誤り……ここから後半部分がごっそりと消えてしまったのです。
いやぁ、苦労は時にまったく報われないこともあるのですね。
さて、どうしましょ。どりあえず、本日はここまで。
(続き これから学ぶべき言語トップ10 (後半))
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