2013年1月25日金曜日

アルジェリア人質事件と日本叩きの再燃

昨日の記事の続きを今日は書くと、記事の最後で予告した。
だが興味深い記事をみつけたため、急遽差し替え、昨日の記事の続きは明日、取り上げることにする。
急いで書いているため文章もいつもの敬体(~です、~ます)ではなく常体(~だ、~である)とする。

私は一時期、株にはまっていた。
世の中のニュースが人々の心にどのような影響を与え、その結果、株価がどのように変動していくのかを予測する……知識も身につき、利益にもなるこのゲームが面白く、夢中になった。

株取引には中毒性がある。
株のことばかり毎日考え、仕事が上の空となった。
それに、参加した時から株式市場が低迷を続け、何を買っても株が下がる状態ともなり、取引から足を洗った。
株式取引の醍醐味は、企業の業績の変化を、他人が考えない先を見越して、その株を売買することだ。

見えない因果関係を解き明かすことは楽しい。
それを読み解くには、例えばこんな本が役立つだろう。

本書は、「今日のニュース」や「いま社会で起こっていること」がどのように株価に影響するのかをまとめています。
という内容で、ニュースがまわりまわって、どのように企業の株価に影響を与えるのか、意外な目のつけどころを丁寧に解説している。

ニュースによって確実に予測でき、なおかつ利益を確実に見込めるようなことでも、案外見過ごされるものだ。たとえば昨年12月の衆議院総選挙の自民党圧勝は、野田元総理が解散を宣言したときに、ほぼ予想されていたことだし、その時に安倍氏が首相になることも既定事項だった。

安倍氏が総理大臣になれば、必ず大型の公共事業振興策をとることも分かっていた。よって、建設関連株、なかでも安倍氏の地元の宇部興産の株が上がることは簡単に予測できていた。それなのに、昨年11月に株を買っていた人は何人いただろう?

結果、宇部興産の株価はこのとおり動いた。野田氏が解散を表明した11/14から1ヶ月間もの間、株価はほとんど動かなかったのが信じられない。この時に買って年初に売り抜けた人は大きな利益を得ただろう。儲け損なった人は御愁傷様だ(私もその一人だが)。
案外、事実とその先に待つ確実な未来は、見過ごされるものなのだ。

先日、アルジェリアの天然ガス関連施設がテロリストに襲撃されて、日本人を含む多数の外国人が殺害された。

亡くなった方々のご冥福をお祈りする。日本から遠く離れた砂漠で起きた惨劇ではあるが、日本人にとっては衝撃的な結果であったため、多くの人の耳目をひいた。メディアの報道、ネットでの言及も多い。

その中で極東ブログ氏の次の記事が注目を集めている。

★ アルジェリア、イナメナス人質事件について

事件の裏側にリビアの崩壊やシリアの内戦の影響があり、欧米が政権崩壊を後押しした結果であること、ロシアや中国の影響など、見過ごされがちな事実をつなぎあわせて、複雑な背後関係をまとめたもので、面白い。

私の注意をひいたのは、次の箇所だ。
こうしたリビアの不安定化が露見したのが、ベンガジの米国領事館襲撃事件だったが、当初米国オバマ政権はこれを、マホメットを侮蔑した映画による大衆デモであると情報操作した。これが「ベンガジゲート」である。この事件については昨日もクリントン米国務長官が議会で吊し上げをくらっており、オバサンのヒステリックな非論理的な弁明が香ばしい。
リビアのベンガジで米国領事が亡くなった原因を、情報操作で別の理由とすりかえたことが、アルジェリアの事件で露呈した。

これはヒラリー・クリントン国務長官にとって、致命傷になる可能性がある。アメリカ人は嘘を嫌う。

彼女は、失地挽回を、着々と狙っているはずだ。一番いいのは、他の事件に人々の関心を向けることだ。再び情報操作を行うことだ。

日本では元大統領夫人であるクリントン国務長官のことを、聡明で意志の強いスーパーレディのように評価する人が多いけれども、私はこの人は、アメリカ版田中真紀子ではないかと思っている。

しかももっと頭がよくて、失言もしない田中真紀子だ。

この女性は夫が大統領に就任する前から、その弁論、態度、行動が立派だということで大衆の心をつかんできた。元弁護士であり、ニクソン大統領の弾劾裁判に若くして参加、非営利団体の司法事業推進公社の理事などの数々の公的団体の運営に携わってきた。

なにしろ陪審制を取っているアメリカの裁判所で、もまれてきただけあって、喧嘩に強く、人々の心をつかむ術にも長けている。

田中真紀子が率直で軽妙な物言いと、敵を翻弄するレトリックで一時期高い魅力を勝ち得てきたように、ヒラリーは攻撃的かつ感情に訴える弁論を駆使し、アメリカの女性たちの気持ちをがっちりとつかんでいる。

彼女は、日韓の間に横たわる慰安婦問題について日本に批判的で、女性の味方、弱いアジア人の味方をアピールしている。

慰安婦問題解決が難しいのは、日本の上層部に事実ですら認めたがらないエゴイスティックな保守層が巣食い、それに乗じて、韓国が巧妙に、事実の中に嘘を織り交ぜ印象操作を繰り返しているという、双方のクズの巧妙な共闘関係があるからだ。それが他国につけ込まれる原因となる。

他国にとって、日本は叩きやすい国だ。味方が少なく孤立気味で、世界のどことも異なる特徴が多く、力がそれほど強くない。

攻撃しても反撃もほとんどされない。世界と集団歩調を取らないし、その上、抜きん出た財力がある。

こんなイジメの的としやすい国家も少ないだろう。

日本はアメリカをリーダーとするグループに属しているが、カナダやイギリスが言わばアメリカの身内、譜代であるのに比べて、日本は外様だ。

アメリカに完全服従する腰巾着でもなく、かといって、ロシアや中国、イスラム、アフリカといった非民主国家の仲間になるのも願い下げな優等生だ。

このような、コウモリのようなどっちつかずの態度を持つ者は、何かをきっかけにスケープゴートとなりやすい。

前例がある。日本の捕鯨活動が一時期叩かれ、大変なバッシングを受けたことがあった。その背景には、反ベトナム戦争運動から世論の関心をそらすための、アメリカシンクタンクの戦略があったと言われている。

★ 反捕鯨で「富と名誉」を得る人々

こんな単純な……と思うかもしれないが、それがよく効くのだ。ヒラリーが同じような戦略を取る可能性はないか。

それが透けて見えたとしても、ヒラリーを批判できない。

以前クリントン元大統領がモニカ・ルインスキーとの不倫疑惑で揉めた時に、スーダンやアフガニスタンを攻撃したことが情報操作だと批判されたことがあった。

ところが、それからほどなくして9.11の事件が起こる。クリントン元大統領のあの時の判断は間違っていなかった、という意見が定説となろうとしている。

そうなると、同じような批判を受けた時にヒラリーはこれを使って反撃できるだろう。
「夫も同じように批判を受けたが嘘だった。私が私利私欲で日本を批判していると言うのはお門違いだ。あの時あなたが批判した結果が9.11だ」

日本の円安誘導など、世界的に不満がくすぶろうとしている。メディアを使って、今、日本への不満を巻いている最中のようだ。種が蒔かれているのじゃないか。

豚は太らせて食え、という。アベノミクスなどと言われ、これから日本に金が回ってくるのだろう。株式は上げ相場となるだろう。

それは世界の嫉妬をかうだろうから、日本は世界のスケープゴートとなり、防戦一方となる。世界中から嫌われた日本は、やがて逃げ道を探し始める。ヒラリーはそれに火をつけるんじゃないか。国務長官を引退するとはいえ、66歳はまだ若く、再び表舞台へあがるために日本を利用してやろう、と考えはしないだろうか。

ヒラリーがやらなくても、苦境に立たされたアメリカが、再び日本をターゲットにしやしないか。その時にアメリカで戦争を起こしていたとしたら、日本は苦境を脱するために協力を惜しまないだろう。小沢一郎がかって行なったように。それから、日本に集まった資金がアメリカに還流し、アメリカの軍事産業は再び盛り返す。こんな未来が待っているのではないか?

バタフライ効果というものがある。
これは、現在の気温、湿度などあらゆる情報を計算式に入力して、一週間先の天気を予測しようとして失敗した天候学者の経験にもとづく。

通常ならば些少な数字は切り捨てて計算すれば、近似値を求められるのに、天候予測のような複雑な計算式の集合体になると、0.000000000000000001のような、ちょっとした数字の違いが結果に大きな差が生じてしまう。
つまり「北京で蝶がはばたくと、ニューヨークで嵐が起こる」というのは、冗談のようだが本当の話だ。

アルジェリアの蝶のはばたきは、日本の前途に嵐を呼び起こすのではないか?
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