★ 13歳の息子へ、新しいiPhoneと使用契約書です。愛を込めて。母より
携帯電話を使った犯罪や、Twitterなどでの誹謗中傷、SNSの中での罵り合いなど、ネット上には様々な問題が転がっています。スマートフォンを持つ、ということは、その問題に子供が巻き込まれる可能性がある、ということです。
それに対して母親は、以下の様な文面の手紙を息子へ送り、釘をさしました。
1.これは私の携帯です。私が買いました。月々の支払いも私がします。あなたに貸しているものです。私ってやさしいでしょ?長いので一部を抜粋しました。
2.パスワードはかならず私に報告すること。
3. これは「電話」です、鳴ったら必ず出ること。礼儀正しく「こんにちは」と言いなさい。発信者が「ママ」か「パパ」だったら必ず出ること。絶対に。
(中略)
12.他の人にあなたの大事な所の写真を送ったり、貰ったりしては行けません(中略)。
13.写真やビデオを膨大に撮らないこと。すべてを収録する必要はありません。人生経験を肌身で体験してください。すべてはあなたの記憶に収録されます。
(中略)
17.上を向いて歩いてください。あなたの周りの世界を良く見てください。窓から外を覗いてください。鳥の鳴き声を聞いてください。知らない人と会話をもってみてください。グーグル検索なしで考えてみてください
18.あなたは失敗する。そのときはこの携帯をあなたから奪います。その失敗について私と話し合います。また一からスタートします。あなたと私はいつも何かを学んでいる。私はあなたのチームメイトです。一緒に答えを出して行きましょう。
(後略)
さて、私はこの手紙を読んだ時に嫌なものを感じました。とりあえずブックマークに、
面倒な親だ。レグザフォン渡しとけと言いたい。 2013/01/06とコメントしました。ただ、何か言い足りない、この母親は、いわゆる毒親という存在に近いのではないか? 支配欲強すぎるだろう……と思っていたところ、それを非常によく説明した記事がアップされました。
★ iPhoneの使用契約書の記事を読んで感動する人は親になる資格などない。
これを読んだときは、胸のつかえがすぅっとしたものです。よくぞ言ってくれた、と。
これほど支配欲溢れる文章をブログに上げて賞賛されようとする精神構造は狂ってる。
自己愛の塊だよ。支配と愛情を混同しているよ。この母が愛しているのは自分自身であって、子ではない。
契約書の一行目
”これは私の携帯です。私が払いました。あなたに貸しているものです。私ってやさしいでしょ?”
”It is my phone. I bought it. I pay for it. I am loaning it to you. Aren’t I the greatest?”
私、私、私。
この一文を読んで背筋が寒くなった。これさ、携帯だけじゃないよね。
お前の服も
お前の食べている食事も
お前の部屋も
お前の読む本も
お前の命も
お前の人生も
”私”のものです。だから”私”の思い通りに育ち、考え、働き、結婚し、生きなさい。
そういう意識が透けて見える。醜悪だろこんなの。恐ろしいよ。
そうなんです。確かにネット上にはいろいろな危険性があります。そこから子供を守るために、怪しいサイトにはアクセスできないような仕組みをiPhoneに備えつけたりするのは構わないと思いますし、iPhone自体を与えない、という選択もあっていいでしょう。
でも、iPhoneが欲しい、という子供の欲望につけこんで、愛という名の強制力でがんじがらめにして、好意を押し付けようとするその粘り気のある母の気持ちは支配欲でなくてなんなのでしょうか。
上記記事で取り上げられていた加藤智大の育てられ方を詳しく説明した本があります。
この本を少し読み、たまらない気持ちになって本を閉じました。親から無条件の愛をもらえず、その期待に沿うことで愛情を得ようとして挫折した加藤の姿が、自分と重なったからです。
子育ても人間関係も難しいものですが、出来る限り、支配ではなく、相手に耳を傾け、見つめ、そして何をすればいいのかを考えていく関係を築きたいものです。
そもそも、iPhoneを作ったジョブズは、自由を愛する人間でした。
彼の道具を利用して子供を支配しようとするなんて、おかしいですよね?
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