ところが中国で人件費が上がり、これまでのようにタダのように安いタオルを購入できなくなっても、もはや日本では製造工場もノウハウも流通機構もないために、今更改めて作ることができない。いずれ、以前日本の生産地から購入していたのと変わらない値段で、もっと質の悪い商品を、中国から購入しなくてはならない、というバカバカしい未来が待っているのだろう。
時代の流れは急激だけれども、労働力の育成には時間がかかる。だから、ただ安いからというだけで他国からの輸入に頼りきり、自国の産業を潰してしまうと、その産業が人々の生活に密接に関わっている場合に首根っこを押さえられてしまうようなものだから、のちのち他国の人間から経済を牛耳られ、政治的に大きな影響を及ぼされてしまう、という可能性がある。
なんでも自分だけで自己完結し、他人との交流を断ち切る人間は嫌われてしまうけれども、逆に他人に自分の全てを預けてしまう人間は、他人から支配される危険性がある。「独立自尊」の標語はグローバル社会からの圧力の強い今だからこそ、より重要になっている。
グローバリズムの牽引車であり、世界一の強国であるアメリカが、今変わろうとしている。豊かで在り続けることを求め続けた結果、国内産業が空洞化してしまい、貧しい人々に富が行き渡らなくなり、格差がありえないほど広がっている。支配こそ免れているものの、自分で立てずにいつか崩れ落ちてしまうのではないか……危機感を持った人々の意識が、変わり始めているようだ。
★ 'Made in the USA' Making a Comeback
奇妙な動きがアメリカの消費者の中で見られるようになった。大勢の人が、商品を裏返し、ラベルを確認して、この記事についての人々の反応は次の通り。
「アメリカ製かどうか」
を確認して購入するようになったのだ。
国内最大の小売業者であるウォルマートは今年初め、今後10年間で、アメリカ製のものを500億ドル調達すると発表した。ゼネラル・エレクトリックは、国内の家電事業を活性化し、1,500人以上の雇用を生み出すために2014年までに10億ドルを投資する予定だ。
(中略)
何年もの間、中国の工場で生産をする最も大きな魅力は低賃金の労働力にあった。しかし、輸送費や関税、工場設備の費用のような輸入に関係する様々な費用の高騰、そして世界的な生産状況の変化によって、もはや中国には依存できなくなった。
国内生産は一方で、快方へと向かっている。新規受注が増加し続けているため、米国製造業部門の成長度数は、今年2月で一年半もの間最高記録を続伸している。
「米国製造業の支出面での競争力は増加している」
と、コンサルタントの1つであるブランドロジック社のセルッティは語っている。
(後略)
"これは素晴らしいニュースだ。私が若いころ、フィッシャープライスのおもちゃ工場で働いていたんだ。みなさん、アメリカはかつておもちゃを作っていたんだよ"
"質さえよければいいことだよ。リーバイスの質がもっと良くなってくれればいいんだけど!"
"企業も政府もアメリカ人の労働者を守らない。自分で守らないとな"
"ホームヘアカット用品が欲しくなった時に、1つは20ドルの中国製のもの、もう1つは39ドルで保証書のついたアメリカ製のものを見つけたの。私はアメリカ製を買ったわ"
"俺はいつもアメリカ製かどうか確認しているよ。最近では珍しいけどね"
"間違いなくアメリカ製のものを買うべきだが、それよりも重要なのはアメリカ人を雇うことだ"
"俺のアメリカ製のクラフツマン社の工具はコレクターズアイテムにもうなってしまったな。クラフツマン社の工具は中国で作られるようになったの買わなくなったよ"
"GEが新しく1,500人雇うだって? 冗談だろ? GEは多分、メキシコで働くメキシコ人トラック運転手を増やすだけだろうね。GEは北米自由貿易協定(NAFTA)に参加していて、何年もの間、アメリカの労働者を解雇して外国人に職を与え続けているんだから。"
"アメリカで作られたアメリカ人の服がほしい"
"今まで読んだ中で一番愛国的な記事ね。私を笑顔にしてくれたわ。隣人を助けることにもっと積極的にならないと"
"ウォルマートは昔、アメリカ製のものだけを仕入れていたんだ。製造部門をアメリカに戻してくれるだけて、国内経済のためになるよ"
"いいことだ。長年アメリカ製のものといえば、銃と弾だけだったからね"
"みなさん、アメリカ製の自動車、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、食器洗い機を買ってください。アメリカ人が家具や布、靴やその他のものを作れば、それは市場の中で、アメリカ製品に対する需要を増やすのに役立つんですよ"
"仕事がないのは悪いことじゃないと決めたんじゃなかったっけ? 国がまた騙しやがったのか?"
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