NHKの「あまちゃん」の影響で80年代のアイドルににわかに関心が集まり、当時を知らない若者が、アイドルたちが当時どのような存在だったのかを知りたがっている。その要求に答えた形のこの記事にたくさんブックマークがあつまるのも当然だろう。
かくいう私も以前、
★ 松田聖子は歌がうまい
という記事を書いたり自由が丘にあるフローレスセイコに言ってグッズを買ったり彼女の昔の楽曲のベスト版を最近も買ったりする程度には松田聖子のことが好きなので、この記事が大変興味深かった。もしかしたら記事が消されるかもしれないので、とりあえず松田聖子について述べられた部分だけを引用しておく。
第1位 松田聖子素晴らしい分析だ。
代表作品:「青い珊瑚礁」「チェリーブラッサム」「赤いスイートピー」/『野菊の墓』など。
言わずと知れたアイドルの中のアイドル。絶対正義。高度経済成長から、安定成長へ、そしてバブルへと向かう世相の中で、松田聖子が時代を代表出来たのには彼女の生い立ちによるところも大きいと思う。一点の曇りもない地方の中産階級、そんな彼女には貧困も、学園闘争も、無縁だった。60年代の加山雄三的なるものから70年代の四畳半フォーク時代を飛ばして直結していると言えるが、加山雄三が曇りが無いように見えても階級社会的な側面や敗戦国国民のてらいのようなものがあるのに対して、松田聖子は徹頭徹尾、能天気であった。彼女は日本が初めて獲得した、先進国のアイドルであった。
松田聖子の凄さというのは子供の頃はよく分からなかった。しかし、それから数十年、様々な芸能人が現れては消え、現れては消えるのをながめ、さらには美空ひばりなどの過去のレジェンドのことを本や回顧映像などで知り、その流れの中で、数十年も語り継がれる松田聖子が芸能界の中でどれほどの特異点であったのか、今になって分かる。やっぱりスゴイ存在だったのだ。
だからだろうか、当時リアルタイムで松田聖子を観ていた人々が、今、彼女について様々なブログで分析をしている。彼女について述べたブログは数あれど、その中の白眉は、しおれたきゅうりさんのブログ、
★ 「松田聖子」という奇跡~ひとりよがり哲学
ではないか。このブログはネット上の松田聖子に関する情報の百科事典のような存在となっているので、これを抑えておけば、松田聖子についてはほぼ完璧に理解できると言えるだろう。
ところで、同じサン・ミュージックでありながら、彼女の後輩に当たる岡田有希子にこれまで私はあまり関心を持ってこなかった。そもそも彼女たちに興味を持ち始めたのはここ数年の話で、硬派を気取っていた昔はアイドルに興味がなかった。
だから、岡田有希子が死んでから彼女のことを知ったし、自殺したアイドルについて関心を持つのもためらわれたので、彼女について書かれた記事を読んだり動画を観たりすることを拒否していたのだ。
ところが、「80年代女性アイドルの当時的な感覚での格付け」の一番最後の16位で岡田有希子を取り上げていた。最後の最後で彼女が現れ、ふと彼女はいったいどういう人だったのだろうと気になって、動画を検索して……衝撃を受けた。
私が衝撃を受けた動画はこちらです。肝心の部分は7分11秒からなので、できればそこから観て欲しい。
動画は9分ある。最初は歌、その後簡単なクイズ(3人の中で本当に岡田有希子の関係者は誰? というよくあるものだ)、それから岡田有希子が習った歌舞伎の口上『白浪五人男』を実際に述べる、という構成になっている。
そもそも福沢富夫なんて、私ですらどこかで名前を聞いたことがある演出家なのだから、芸能関係者なら当然彼のことを知っていただろうし、それがクイズとして成り立っているのがまず可笑しいのだがそこは割愛。
問題は岡田有希子のこの演技力である。
張りのある声、凛とした仕草、淀みのない口上、指先がまっすぐに伸び、ピシッ、ピシッと決めるところで決めている。迷いがない。その上この演技を、ハイヒールを履いて行うのだ。これは本当にスゴイ。
しかもそれを見せるのが、あの勝新太郎の前である。勝新太郎といえば名優中の名優だ。岡田有希子自体は若くて物おじしないとはいえ、逆に周りがハラハラしそうなものだが……。
しかし勝新太郎は、彼女の演技をやや身を乗り出すようにして鋭い眼光で見つめ、笑いもせず、それからおもむろに拍手をはじめた。怖いなと思うと同時に、彼から見たら岡田有希子のこの演技、果たして何点だったのだろうと気になった。
彼女に今でも人気があり、ファンが彼女のことを語りたがる理由が分かる。
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