- 因果関係を押さえる
- 視覚化する
- 帰納的に考える
- 逆を考える
- 対称性を見つける
- ゴールからスタートする
そこで、上記の数学的思考を少しアレンジしたりしながら、普段の生活にいかに応用出来るかについて具体的に考えてみようと思う。
1.十分条件と必要条件を区別する
AならばB(A→B)であるといえても、BならばAとはいえない関係のことをAはBであるための十分条件、BはAであるための必要条件と呼ぶ。日本語で「必要」というと、「絶対に必要」という語感があるから、範囲が狭く感じられる。それに対して「十分」というと「それで十分」という語感があるから、範囲が広く感じられる。ところが、実際は下記の通り、逆だ。
「それさえあれば十分」という条件の範囲は狭く、「それは必ず必要」という条件の範囲は狭い。
その上、「条件」という言葉も誤解を招く。むしろ「事項」などとした方が日本語の語感と合っているかもしれない。
語感との戦いになるけれども、これを区別できるようになると、日常の問題解決にとても役立つ。
たとえば、友人から「ディズニーランドに行きたい」と言われたとする。その理由が、もしも「あなたとどこかに行きたいから」というものだとしたら、別にディズニーランドにこだわらず、動物園でもいいわけだ。「ディズニーランドに行く」という選択肢にとって、「どこかに行く」という条件は必要な条件ではあっても、全てを満たしているわけじゃない。
ところが、ディズニーランドに行く理由として「エレクトロニカルパレードを直接見たいから」という理由だったとしたらどうだろう? それを見るためには必ずディズニーランドに行かなくてはならない。
よって、「ディズニーランドに行く」という選択肢にとって、「エレクトロニカルパレードを見たいから」という理由は十分な条件であると言える。
でも、エレクトロニカルパレードを見ることだけがディズニーランドに行くための理由ではないだろう。ミッキーマウスに会いたいとか、ホテル・ミラコスタで食事をしたいとか、他にもディズニーランドに行きたい理由としていろいろ考えられる。
エレクトロニカルパレードを見たいという理由は、「ディズニーランドに行きたい」理由としては十分すぎるほどだが、そこまで具体的に絞り込んでいなくともいいのが十分条件。
この区分けは、相手が何かを訴えてきた時に、理由としてあげる条件が、いったいどちらだろうと考えるときに役立つ。
「それって必要条件だから、必ずしもそれでなくてもいいよね」
「十分条件だけど、他にもこんな理由が相手にはあるんだろうな」
などと考えるだけで、相手への理解は深まるだろう。
2.視覚化する
ユダヤ人がなぜあれほど人材を輩出してきたのかを解き明かした好著に『ユダヤ人の頭のなか』というというものがある。
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この著者の本を読んで、かなり頭のいい人だという印象を受けた。彼はどのように普段仕事をしているのだろう? という疑問を解き明かしたのが、彼の次の著書『図解主義!』だった。
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でも、たとえばユダヤ人物理学者のファインマンもそうだった。スペースシャトルが爆発した原因を解き明かすために、模型を使って考えたり、抽象概念を具体的なものへと落としこむのが彼らの流儀だった。簡単な物事ですら、図に書くこと。その癖、繰り返しが、異常なまでの問題解決能力アップにつながるのだろう。
3.具体的な数字や地名、人物名などを当てはめる
「ものごとを抽象的に考えるのではなくて、具体的な例を挙げる」というのは、バカに思われるのではないかと思って、中途半端に頭の良い人はやりたがらない。
でも、抽象的なものを中途半端に理解しているから、誤解が生まれる。具体的な数字や具体的な地名に当てはめたときに、見えていなかったものが見えることはよくある。
たとえば、
「理系出身の政治家がトップに立たたないから日本の政治はダメだ」
という主張を述べる人がいたとして、その理由としてロジカルシンキングの訓練を積んでいることだとか、科学技術に明るいことなど、抽象的な理論をいくらふりかざしても、理解を得られまい。
それよりも、例えば東京工業大学出身の菅直人が原発事故の際に、科学的知識があったために適切な判断ができたことだとか、
東大工学部を出た後スタンフォード大学で博士号を取った鳩山由紀夫が、温室効果ガス削減などの環境問題に積極果敢に取り組み、「鳩山イニシアチブ」と呼ばれる数値目標を掲げて国際社会から称賛を浴びたことだとか、
彼らの成功の具体例を挙げた方が、聞いている方も、
「確かにそうだ! 理系出身のトップがもっと増えれば、日本はもっとよくなる!」
と理解してくれのではないかと思う。
……長くなりそうなので、続きは明日以降に。
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