★ “ガリ勉マリッサ”がヤフーにもたらしたもの
この女性、Googleの創業者であるラリー・ペイジの元彼女だそうだ。
★ マリッサ・メイヤーの裏の顔
これは、メイヤーと働いた経験のある元Googleエグゼキュティブに昨日電話で長々と取材して聞き出した、彼女と、彼女のような立場の人たちの評価だという。
その彼女曰く、メイヤーは「誰よりも人一倍働き者」で、「世の中の人の99%よりは頭もいい」が、「身の程をわきまえず」、「管理のことは何も知らず、脅迫・侮辱で押さえ込むぐらいしか能がない」のだという。一癖も二癖もある大勢のGoogle社の社員を若いながらひとまとめにするのだ。脅しもすればすかしもするだろう。それに、暴力は決して使っていまい。この悪評を読んでも、彼女に悪い印象をさほど、もたなかった。むしろ、さらに興味を抱く。
私が何よりも関心をもったのは、こういった人物の信念は、どのようなものなのだろう? というもの。
それを調べていく内に、彼女の愛読書について書かれた記事を見つけた。
★ Marissa Mayer: Google’s Chic Geek
上記記事によれば、愛読書は、『The Design of Everyday Things』だという。
和訳が『誰のためのデザイン?』という邦題で出ていた。
「…私は引いて開けるドアを押してしまったり、押して開けるドアを引いてしまったり、横に滑って開くドアに正面から突っ込んでいってしまったりする…」という内容のものだそうだ。Googleは、直感的に利用できるインターフェースという概念をとても大切にしている。誰でも見ただけで分かるシンプルなデザイン。彼女はこの本を読み込むことで、いつもその原点に立ち返るのだろう。
これは、本書の冒頭で語られる著者の失敗のひとつである。こうした失敗を、普通の人間なら単なる自分の「ついうっかり」として見逃してしまうところなのだが、著者は見逃さなかった。それは彼が認知科学者として数多くの産業事故の研究を行い、多くの事故が人間による操作ミスの一言でくくられてしまうことに疑問を持っていたからである。
著者ドナルド・A・ノーマンは、認知心理学者であり、ヒューマンインタフェース研究の草分け的存在だ。そして本書は、電話機、パソコン、蛇口、コンロなど、私たちの身の周りにある道具と人間の関係を真剣に考える、道具の心理学の本である。
ある道具をうまく使えなかったら、それはあなたのせいではなくて道具のデザインが悪いせいである。とアマゾンの書評で述べられている。
この本の主張はこの1文に集約できる、と私は敢えて断定します。日常の道具である電灯のスイッチやドアのデザインを具体例に、使いやすくデザインするための原則が丁寧に説明されています。
なるほどね。エレベーターの開閉ボタン
のような、間違えやすいデザイン(私は左側の「開く」ボタンを見ると、いつも両側から手のひらで押さえつけているイメージが頭に浮かんで「閉じる」だと認識してしまう)に腹を立てている身としては、この本の著者の考えに全面的に賛成だ。
彼女はこの本を読みながら、Googleを使いやすいものとすることに全力を傾けた。認知心理学をデザインに応用するという姿勢を常に持ってくれたおかげで、世界最高の検索エンジンが誰にとっても使いやすいものとなったことに、感謝しなくてはなるまい(そういえば、ブログサービスであるBloggerも随分、使いやすくなった)。どこに検索エンジンがあるのか、一瞬迷うようなサイトも多い中で、余白をそのままに、中央にデーンと検索窓を設置するシンプルなデザインには、多分彼女の意向が働いている。
上記記事には、最初は医者を目指していた彼女が、記号学に出会い、その奥深さに興味を持ち、次第にデータの表示がどのように人々の認識に影響を与えるのか、といった方面へと関心が移ったことが述べられていた。
彼女は、本質的にデザイナーであり、科学者なのだろう。推測するに、彼女は、ブラックボックスそのものの仕組みを解き明かすことや、新しいものを作り上げることよりも、実験をくりかえしてブラックボックスの中の法則を解き明かすことに興味を持つタイプなのではないか。
まずはやってみること。データを多く集めること。試行錯誤。ベストはベターの積み重ねにある。結果を重視。人間の認識は脳の習性ととらえる。主観よりも「大勢の人々が、どう認識するのか」に関心が向くタイプ……彼女の愛読書を知り、そんなイメージを持った。
Googleの素晴らしさは、デザインを科学的に分析できる、彼女のような人物を早期のうちに雇い入れて、管理者としてサイトの設計を任せたことにあるのだろうね。
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