2013年10月9日水曜日

日本人には「相手と同化したい」という悪い癖がある

「海は誰のものか 東日本大震災と水産業の新生プラン」
日本人は交渉力が弱い、と言われることがある。

価値観や文化がまるっきり異なる者同士の間では争いごとが頻発する。だから、交渉力が自然に磨かれる。しかし、日本国内には異民族が少ない。そのため、争いごとが少ないために、交渉力を人々が磨く必要がない。

ありがたいことだけれども、「いざ」という時にその美点は弱点となる。争いごとが滅多にないために、争いごとが起こるとびくついて、筋が通らないことでも我慢してしまう。

かといって、国内にわざわざ争いの種を持ち込む必要もない。トップレベルの人間に訓練を積んでもらい、それを私達が応援する体制を整えればそれで済む。また、彼ら「国際交渉のプロ」が学んだ「交渉方法」をレクチャーしてもらうことで、交渉力を学習することが出来る。

武道を専門的に訓練しなくとも、彼らが編み出した護身術を学べたある程度、身を守れるのと同じである。

その点で言うと、水産庁の元官僚であり、
捕鯨交渉などでアメリカ・ヨーロッパの反捕鯨国から「タフ・ネゴシエーター」と恐れられ、米ニューズウィーク誌の「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれた
政策研究大学院大学の小松正之客員教授はまさしく「国際交渉のプロ」である。

彼のインタビューが先日インターネットで公開されていた。日本人の交渉がなぜ下手なのかについて、彼の分析が実に興味深かった。

★ なぜ日本人は交渉で負けるか 世界が認めた国際交渉人が語る「失敗の本質」
★ 続・なぜ日本人は交渉で負けるか 超難関「世界クジラ交渉」に学ぶ“勝つ技術”
・長期的視野がない
・専門的な知識が少ない
・「自分の手持ちのカードは何か」を把握していない
・相手に自分を理解させる努力が少ない
上記の内容は、これまでもよく言われてきたことだったけれども、その中に、日本人の特性を説明する下記文章を読んで、うなることになった。
 国際交渉というと、「合意」や「妥協」がゴールだと思ってしまうのは日本人の悪いクセです。相手と同化したいという気持ちが強過ぎて、相手と意見が食い違うと精神的に不安定になり、国益よりも精神的な安定感を得ることが目的になって妥協をしてしまう。これが、そもそもの間違いです。
日本人は同質的な社会である、と言われている。
「和を以って尊しとなす」
と国是としていて、争いごとを嫌い、できるだけ意見をすり合わせることに神経を使う。その欲求の行き着く先を説明する言葉として、
「相手と同化したい」
という言葉は、言い得て妙だろう。

かつて、日本人でありながらソ連の代理人として、ソ連人のようにふるまっていた共産党や社会党やそのシンパ、今だと中国人や韓国人そのものの立場で日本人を糾弾する人々、ブラック企業で部下を上司の代わりにどやしつける中間管理職などを見ていると、なぜ彼らがああも「自分以外の者」になりきるのかがわかりにくかった。

また、戦争が嫌だ、争いごとがイヤだといいながら、どうして反対勢力をあそこまでラジカルに批判するのだろう? という疑問もあった。

最初のベースは、争いごとがイヤだ、という素朴な感情があるのだろう。だがそのために、「相手と同化したい」という欲求があるため、彼らに同化してしまう。そして同化したら、最初の「争いごとはイヤだ」という気持ちが雲散霧消してしまい、紛争、揉めごと万々歳、となってしまうのだろう。

順番を経ることで、うまくメタモルフォーゼしているのだ。

相手の「同化欲求」を意識しながら、交渉をすると、あの手の人々と意思疎通が図られるのかもしれない。

2 件のコメント:

  1. 演技性パーソナリティ障害ということですね分かります

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    1. そういう観方もできるかもしれませんね。
      注目を浴びたくてしょうがない、というような。

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