非常に立派な建物で、イメージとしてはヨーロッパのスパ、といったところか。
一階建て平屋で、天井は高く、5メートルはあるだろうか。
屋根の大部分がガラス張りで、そこから採光をしている。
旅館内に張り巡らされている温泉パイプのせいで、常に暖かい。
「暑ければ、障子を開いて調節して下さい」と御主人。
言われたとおり、部屋の障子を開けば、途端に冷気が部屋に流れ込む。
なるほど、手動で温度調節出来るわけだ。
室内にテレビは無い。
館内に、娯楽設備が全く、無いのだ。
本当に、温泉を楽しむだけのために作られた、思いっきり贅沢な場所……そこが、手白澤温泉だった。
何もすることが無かったので、お茶を飲んだ後は、すぐに温泉に入ることにした。
温泉は、室内風呂と露天風呂の二つあり、どちらも湯の花の量が多い掛け流し温泉であった。
室内風呂が寒いのに驚く。
温泉を水で薄めず、もっぱら温度調整は気温に頼っているため、密閉せず、壁の一部から大量の冷気が流れこむ仕組みになっている。
そのため、早く温泉に入らないと、空気が寒くて凍えてしまう。
身体を洗う場所には、蛇口がない。
二本の筒からコンコンと湧き出るお湯が、あるだけ。
そこで身体を洗い、温泉に入る。
お湯に浮く湯の花が、最初人間の垢に見えてしまい、少しぎょっとした。それほど湯の花が分厚く、積載物のように周囲に散乱しているのだ。
源泉に手をかざすと、湯の花がチラチラと浮かび、ああ、これは確かに温泉由来のものだと、安心した。
露天風呂の周囲は完全な雪。そこに顔を突っ込んで一人で遊ぶ。
青みがかっていて、室内よりもぬるい。
(明後日に続く)
おぉ〜!
返信削除いかにも、「温泉」ですなぁ〜!
温泉自体は「これぞ温泉」といった風情でした。
削除ただ、宿はとても近代的で、綺麗で過ごしやすいので鄙びた温泉宿をご期待の向きにとっては期待外れかもしれません。