2014年1月14日火曜日

年齢を重ねる内に、風俗経験者と結婚を考えられなくなった

学生時代、バカバカしいことで議論をよくしました。大学生の頃のホットな議論の一つが、
「風俗嬢だった女性と結婚できるのか?」
という問題について。

当時の私は、
「もちろんだ。当たり前だろ」
と答えていました。


たかだか数年の間、軽蔑される場所で働いただけで、全人格を否定する人間はおかしい。

(馬鹿じゃないのか。一時の過ちを許せないような人間は、どのような家庭をもったところで、家族を幸せには出来ないだろう。人間は過ちを犯すものだ。それを許せない人間の家庭は余裕がなく、ストレスに満ちた空間となるだろう。そこで過ごす家族が幸せである訳がない)

「やっぱり、愛だろ。愛」

……そう思っていた時期が、私にもありました。

多くの人と実際に出会う
ところがそれから数十年、考えは大きく変わりました。
先日ネット上のどこかで上記の問題について議論されていたのを読んだ時、元風俗嬢との結婚を、
「……無理だな」
と反射的に答えていたのですから。

そのことに気づいて愕然としながら、何故だろう、と考えこみました。

経験を積んだことが、どうやら一番の原因。

社会に出ますと、学生時代より付き合いの範囲がひろがりました。合コンもよく出かけましたし、合コンには風俗嬢が来ることもたまにありますから、彼女たちにいろいろな話を聞いたものです。

いろいろなところで働いていたので、中には風俗や水商売経験者が同僚にいる職場もありました。

彼らは若いせいもあってか、アッケラカンと風俗で働いていた経験などを話してくれます。
「後悔はしていない」
と、彼らのほとんどが胸を張って答えていましたし、それを聞く私達も、
「いい経験出来たんじゃないの?」
などと相槌を打ったものです。

ところが、実際の彼らと接していますと、共通の傾向があることが、長年の経験で分かってきました。

まず、総じてだらしがないのです。

偏見は現実
短絡的に物事を考える。風俗に身を堕とすことは最終手段ではなく、選択肢の一つとして軽く考えている。借金をしていることが多い。ギャンブルに興じる者が多い。性に奔放。浮気をする者が多く、それを彼氏に平然と隠そうとする。思慮に乏しい。意思力が弱く他人の勧めを断れない者が多い……このような特徴を持つ者があまりにも多いのです。

こんなこと、よく言われていることですが、学生時代の私は、
「そんなことないだろ。ステレオタイプで人を判断しすぎ」
と、偏見を笑い飛ばしていました。

でも、彼らに接すると、偏見と思っていたものが、実は統計学にも正しいことが分かるようになります。

よく考えれば、現代日本では、
「絶対に風俗で働かなければならない」
という理由はほとんどありません。

風俗で働く主な原因の一つに借金があります。でも、借金をしたとしても自己破産をするとか、あるいは弁護士などに相談して返済できる範囲で少しずつ返済するなどの方法を取ることで、最後の一線を越えずに済むのに、彼らはそれをしません。そのことを知らないとか(情報収拾能力が低い)、他人のアドバイスを聞こうとしない(頑固で素直ではない)とか、いろいろな理由がありましたが……。

こうして、数十年の間、多くの人と出会い、経験を積み重ねていくうちに、他人を個別の人間としてではなく、統計的に見るようになるのですね。私だけではなく、ある程度の年齢に達した人のほとんどが、そうでしょう。

「大数の法則」の発動です。

大数の法則」というのは、十分な標本数の集団を調べれば、その集団内での傾向がその標本が属する母集団の傾向と同じになることをいいます。

つまり、数多くのケースに触れるうちに、個人の経験的な認識は、大多数の人々が長い年月を経て持つに至った共通認識・伝統的価値観に、次第に一致・集約していくものなのです。

失敗をしなくなる
その結果、
「元風俗嬢と結婚しても、不幸になることが多いから、やめといた方がいいんじゃないの?」
と考えてしまうに至ったのでしょう。

今よりも若い時には軽蔑していた偏見を、年令を重ねる内に身につけるというのは、悲しいことかもしれませんが、仕方がないことかもしれません。なぜなら、現実がそうだから。

それを身につけて、人間は過ちを犯さなくなっていくのでしょう。

思えば、世の中には星の数ほど異性はいるけれども、良き人と出会うまでは失敗の連続、という人が多いはずです。失敗を重ねる内に、残された時間はどんどん減っていきます。試行錯誤を経る過程で、ある程度の見切りをしていくことは大切なことです。人生は短いのですし、特に「結婚」という一大イベントで失敗するわけにはいきません。

「あまり若いうちに結婚しない方がいい」
と言われるのは、常識を身につけてから判断した方がいい結果を生むことが多いからでしょう。

やがて、パートナー選びに限らず、様々なことで失敗をしなくなります。それはいいことですが、誤算もあります。

そのことに関しては、また日を改めて。

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