2014年1月20日月曜日

安倍首相の欠点は、虐げられた者に鈍感なこと

私はアベノミクスなどで日本の経済環境を劇的に変えようとしている安倍首相の政策を支持しています。しかし、下記の記事を読んで、首相の行動を残念に思いました。

★ 片山氏、舛添氏支持依頼に難色
首相が党大会の会場で「誰よりも片山さんに(舛添氏の)応援に立ってほしい」と要請。これに対し、片山氏は「舛添氏は障害を持つ婚外子に対する慰謝料や扶養が不十分だ。解決されていない」と述べ、現状では難しいとの認識を示した。
片山さつきが舛添要一と離婚をした経緯は、調べればすぐに分かります。片山氏は彼と結婚していた2年の間に2人の女性に浮気されていました(そのうちの1人は結婚中に妊娠)。それを片山氏が何度も追求したところ、舛添氏にナイフで脅迫をされ、恐怖を感じた片山氏が離婚を決意したのです。

このような別れ方をした元夫を、どうやって応援しろと言うのでしょうか。

あなたが男性ならば、逆の立場になってください。浮気の上、結婚中に他の男の子供を妊娠した元妻を応援して欲しい、という要請があったとしたら。私だったらキレるでしょう。

それを公然と要求する安倍首相の態度は、あまりにお粗末。人の気持ちをないがしろにする行為じゃありませんか。

党大会という公衆の面前で、片山氏に首相の応援要請を拒否されたのは、首相が事前に根回しをしなかったからでしょう。

全部が全部、根回しが必要とは思いません。それならそれで、やり方というものがあるはずです。

たとえば、
「片山さん。舛添さんとの経緯は重々承知しておりますが、申し訳ございません。私達が彼を応援することを、どうかこらえていただけないでしょうか」
と言って、頭を下げるとか。

ところが安倍首相は、そこまでへりくだることができませんでした。ここに、彼の欠点があらわれています。

お粗末借用書を振りかざした猪瀬前都知事

少し冷静になって考えれば分かるような常識はずれの行動を、ある人が取る場合、その人の本質がそこに現れていることが多いものです。

たとえば猪瀬前都知事。彼は怪しげな「借用書」を提示すれば、人々が信用すると考えて失笑を買いました。
あんな印紙税法違反の書類をふりかざした猪瀬氏は噴飯物ですが、当然彼一人の知恵ではないはず。外部のバカコンサルタントなどの入れ知恵でしょう。しかし、彼らのアドバイスを取捨選択して取り入れるのがリーダーの役割ですが、彼にはそれができませんでした。

彼には「専門家」の言うことを鵜呑みにする癖があります。専門家が竹中平蔵のような相当高い能力の持ち主ならばボロが出ませんが、たとえば借金交渉の際の右翼だとか、業界から追放された交通事故鑑定人だとか、怪しげな人物を"師匠"に抱いた場合、大きな失敗を犯すことになります。

猪瀬氏の求めるあり方とは、「専門家の代弁者」だったのでしょう。彼はアジテーターであり、強弁はうまいのですが、価値判断を自分で行う能力も意思もありませんでした。真実を追い求めようというジャーナリストでも、真実を明らかにしたいと願う学者でもなく、彼の本質はプレゼンテーターであり、それ以上でも以下でもありませんでした。

結果、間違った専門家の意見をそのまま採用して、代弁をして、自滅してしまいました。その証拠が、あのちゃちな借用書です。

安倍氏の度重なる失敗

ひるがえって安倍晋三。彼は無論、猪瀬氏よりも数倍人間としては上です。でも、彼はこれまで、いくつか、大きな失敗をしてきました。

たとえば前政権を投げ出したときのこと。あれを、持病の難病性の腹痛が原因だったとばかり喧伝されていますが、一番の理由は、盟友である松岡元農相が議員宿舎で自殺した、前代未聞の不祥事だったはずです(それに触れられることはあまりありませんが)。

たとえ自殺するにしても、迷惑がかからないように地元に戻って死ぬとか、いくらでも方法はあります。ところが松岡元農相は、あてつけるように議員宿舎で自殺しました。遺書には「安倍首相バンザイ」とまで書かれていたといいます。そこに、抗議の意味が込められていたことは想像にかたくありません。

また、靖国神社参拝問題。小泉元首相が任期5年目にして、周囲の信頼を勝ち取った上で、ようやく参拝を果たしたのに比べると、拙速ぶりだけが目立ちました。案の定、周辺諸国や欧米の大きな反発を呼んでしまいました。

劣者の気持ちが分からない

安倍晋三という人は、名家のお坊ちゃんです。育ちがよく、頭もいい。しかし、そこが弱点です。追い詰められた人間、コンプレックスを抱えた人間、傷ついた人間の気持ちに今ひとつ、鈍感です。

松岡元農相の自殺の前には、本間税制会長など閣僚が連続して不祥事を起こして引責辞任していたという伏線がありました。もしも引き続いて松岡氏までも辞任すれば安倍氏の進退問題になりかねません。松岡氏へは相当強い慰留工作が行われていたといいます。

しかし、松岡氏は、あの状態からは、なんとかして逃れたかったはずです。松岡氏、疑惑が出てくる出てくる。叩けばいくらでもホコリの出てくる真っ黒な人物です。辞めればある程度、追求を逃れられますが、閣僚という地位にいる以上、逃れることは出来ません。野党の追求は激しいものでした。サンドバック状態でした。

次々と不祥事が暴かれ、このままでは議員追放、下手をすれば収監が待っています。元々が貧乏農家の息子です。その後どうやって生活していけるというのでしょう。

かといって、安倍首相を道連れ引責するようなことがあっては信頼はガタ落ちです。首相から、
「やめて欲しい」
と一言言われれば救われるのに、首相からその言葉が出ることはなく、大臣職を辞めるに辞められません。

追い詰められた結果、あんなバカげたことをしでかしてしまいました。

靖国神社参拝問題も、朴槿恵というおかしな人物により、日韓の間に溝が大きく出来ている、よりにもよってこのときに参拝しなくてもよかったのです。

この問題に関しては、韓国人に根強いコンプレックスがあることを、日韓議員連盟の副幹事長である安倍氏ならばよく分かっているはず。彼らがどれほど日本人に対して歪んだ感情を持っているのか。在特会という右翼がやっているデモとおなじことをこれまで韓国で何十年もやらかしておきながら、それに口をつぐんで日本を批判する二枚舌。そこに潜んだ劣等感。

そこに気づくべきなのに、理解はしても共感をしていない人間の性でしょうか。周到に準備せず、あの挙に及び、今回のような大反発をよんでしまいます。

安倍首相、性格はいいですし、以前の退任劇では多くのことを学んだのか、政権の舵取りを大変慎重に行っていることはよく分かるのです。閣僚の不祥事がほとんど起きていないことだけでも、大したものです。

ところが虐げられた者、コンプレックスを抱えた者の気持ちを汲み取ることが出来ないという欠点。ここは大きな弱点です。3年以上の長期政権になると思います。しかし、小泉政権を超えることはないでしょう。

このままでは、彼は、国内の弱者から、いつか足元をすくわれるのではないでしょうか。たとえば沖縄や福島、あるいは北海道などの、国内の疲弊した地域。こういうところで暴動が起きるなど、大きな反発を受け、その責任を取る形で、内閣総辞職を果たす、というシナリオが考えられます。

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