★ 出版3社がAmazonへの出荷停止を発表
一般社団法人 日本出版社協議会は5月9日、記者会見を開催。同協議会の会員社である株式会社 緑風出版、株式会社 水声社、株式会社 晩成書房の3社が5月7~9日より6カ月間、Amazonへの自社出版物の出荷を一次停止すると発表した。3社が出荷停止する出版物の点数は約1600点。今朝この記事を読んで記憶に蘇ったのは、かつてダイエーと(現・パナソニック)の間で行われた価格決定権を巡る争い――「30年戦争」のことでした。
1964年、東京オリンピックの年にさかのぼります。
「15%まで」
というのが松下電器の値引き限度でしたが、その要請を無視したダイエーが、20%引きで家電製品を販売したことが発端。
松下電器はダイエーには一切自社製品を卸さないことを決意。ダイエーは松下電器を独占禁止法違反の疑いで告訴しました。両者は泥沼の争いを始めます。
松下電器創業者の松下幸之助には、持論がありました。
「メーカーには大勢の従業員と、系列販売店の生活を守る義務がある」
彼は経営者であると同時に、国家のために尽くしたいと願う国士でしたから、多くの人々の雇用が守られる、余裕のある価格をメーカーが設定することが必要だと考えていました。
これに対して、ダイエー創業者である中内功の考え方は違います。
「価格を決めるのはお客さん。安いものを届ければ消費者が喜ぶ」
徹底的に消費者目線に立った彼は、メーカーから価格決定権を奪うために規模の拡大を追求します。
ライバルスーパーのすぐ横にダイエーを出店して客を奪うなど、強引な手法で売上を上げ、メーカーが口を出せないほど巨大な流通帝国をつくり上げることに成功したのです。
松下電器が出荷停止すると、ダイエーは倒産した電器屋から松下電器の製品を仕入れ、メーカーによって貼られた製品管理シールを剥がして身元を隠して販売する、などの方法で徹底抗戦します。両者の争いは、1994年に正式に和解するまで30年間続いたのでした。
メーカーと流通の争いの結果は、みなさんご存知のとおりです。
メーカーは価格決定権を流通に奪われてしまいました。今ではダイエー以外のヤマダ電機やビックカメラ、ヨドバシカメラなどにメーカーが社員を派遣して販売を手助けするのが当たり前の時代となりました。
流通側の圧勝、という訳ですね。
もっとも、その立役者であるダイエーは、バブル崩壊によって売上が一気に落ちた時に、規模が大きすぎて身動きが取れず、業績が大幅に悪化。現在はイオンの子会社となってしまいましたが。
それにしてもなぜ、あの時にメーカーが敗れたのか。
明日は、その原因について探ると同時に、そこからどのように学ぶことができるかについて、分析を試みます。
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