2014年6月12日木曜日

SOS遭難事件の謎について

無人島に漂着した女性が7年間耐え忍び、海岸に倒木を並べて作った巨大な「SOS」が発見されて救助。きっかけは、ミネソタ州の子供が「SOS」の文字をGoogle Earthで見つけたから……。

という記事が話題になっています。

★ 無人島に漂流→7年間遭難した女性、ビーチに巨大なSOSを書く→子供がGoogle Earthで発見→無事救出!凄すぎる!

読み終わって、すごい! と感動したものの、その後すぐに、
「ホントかよ?」
と疑いました。

なぜか?
これほど感動的な話なら、大きな話題になっていなければおかしいからです。たった1人で南の島で7年間女性がサバイバルして生き延びたという記事を、ニュースジャンキーの私が見逃すはずがない……こう考えたのです。

そこで、リンク先の記事に記載された女性の名前"Gemma Sheridan"で調べたところ、

★ Meet Gemma Sheridan, The Real-Life Inspiration For Fake Story About Google Earth Finding Woman Stranded On Desert Island For 7 Years

という記事を見つけました。"Fake"、つまりつくり話だった、というわけ。なーんだ。

日本のSOS遭難事件は怖い

あっけない結末でしたが、作り話の海難事故に比べると、日本で実際に起こった山の遭難事件は陰惨です。

「SOS遭難事件」と言われる事件の概要を昔知った私は、鳥肌が立ちました。

事件の概要はこうです。
1989年7月24日午後、北海道警察のヘリコプターが、登山ルートから外れた旭岳南方の忠別川源流部で、倒木を積み上げて造られたSOSという文字を発見。北海道警察は、翌日改めてヘリコプターを派遣し、調査を進めた。その結果、動物により噛まれた痕のある人骨の破片とSOSと叫ぶ若い男の声が記録されたカセットテープレコーダーなどが収容された。(Wikipediaより抜粋)
残されたカセットテープレコーダーに残った音声が、これ。
 
音声の内容は、
「骨折して身動きが取れないので助けてほしい」
というもの。

ところが崖の上には、倒木を使って大きなSOSの文字が作られているのです。

倒木を使ってこれほどの文字を作る余裕があるならば、なぜ自力でそこから移動しなかったのでしょうか?

それに、骨折した人間が、こんな大きな倒木を並べることができるものでしょうか?

テープに遺されたうめき声は、謎が謎を呼ぶミステリーとともに、子供の頃のトラウマになりました。

謎がわかると、なーんだ

が、今になって考えますと、特に難しい事件ではありませんね。

この場所は、ニセの目印で迷いやすいために遭難しやすい難所だったといいます。

そこで、たまたま男性が遭難したとします。

最初は余裕があり、ゆっくりと救助を待つために、SOSという文字を倒木で作ったのでしょう。登山届を出しているので、遭難したら数日で捜索隊が来てくれるものと考えたとすると、おかしくありません。もしかすると、そのときすでに、足を痛めて長い距離を歩けない状態だったのかもしれません。

長い距離をあてもなく歩くことは出来なくとも、倒木を引きずって、SOSの文字に並べるだけならば、なんとか出来ますからね。

ところが、その後救助が来ないとすると、どうするか。自力で脱出を試みるしかありません。ところが、その途中で足をすべらせ、骨折して、今度こそ本当に動けなくなったとします。

骨折のために身動きが取れず、後は近くを通る登山者に偶然見つけてもらうことを願うだけ。食料も尽きます。

それに、骨折しますと発熱します。意識も朦朧としたところでしょう。

「このままじゃまずい。もしも近くを誰かが通った時に、自分が気づかずに声を出せなくなるかもしれない」
と考えたことでしょう。

では、どうするか?

録音機が、あるのです。助けを求める自分の声を録音して、それを自分の代わりに、大音量で鳴らすようにすればいいのです。誰もが考える当たり前のことですね。

しかし、誰からも見つけてもらえないまま、命を落としたのでしょう。そう考えますと、それほど不思議な事件ではありません。

謎解きをしないまま、センセーショナルに扱われてきた事件も、よくよく考えますとそれほど困難な謎ではなかった、ということは、世の中多いです。

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