ところが、セブンイレブンのコーヒーメーカー、表示がわかりにくくて困ります。
初心者は店員に尋ねなければ、どのボタンを押せばいいのかわかりません。朝の忙しい時間に、店員がレジを離れて教えてくれるまで、辛抱強く客が待つ、という風景をよく目にします。
デザインはシンプルですが、使いにくいために不快。でも、不満をぶつける相手が誰だかは、わかりませんでした。
ところが、下記の記事を呼んで不満をぶつけるべき相手がわかりました。
★ かっこいいデザインにする→利用者が分かりにくくなる→貼り紙されてデザイン崩壊
ああ……佐藤可士和(かしわ)かぁ……。
私デザインにうとく、デザイナーの知人から数年前に教えてもらうまで知りませんでしたが、彼に言わせれば、
「知らないなんて、常識をうたがう」
というレベルの超有名デザイナーだそうです。妙な名前だったので名前はすぐに覚えましたが、あのユニクロのロゴをデザインした方といえば、一般のかたもわかるはず。
セブンイレブンとは長年のつきあいのようでして、その縁でセブンイレブンが社運をかけたコーヒーメーカーのデザインも手がけたのでしょう。しかし、評判が悪いですし、実際私も、佐藤可士和デザインであることを知らずに、
「わかりにくいなぁ」
と不満を持っていたのは事実。客を無視したしかけを始める企業は、だいたいマクドナルドのように顧客離れが始まりますな。
もっとも、不便は承知の上、それよりもデザイン性を優先するべきってな考えなのかもしれません。多少の不便を我慢してでも美しさにこだわるべきだ、という考えで有名なのは建築家の安藤忠雄御大ですが、下記の記事を読みますと、その実害ははなはだしい模様です。
★ 近所の安藤忠雄住宅がわずか9年で解体されています・・・
リンク先に飛びますと、笑ってしまうほどいびつな建物が海沿いに2つ、並んでいます。こんな海風の強い場所で不安定な建物を建てれば、建物がすぐにダメージを受けてしまいそうだと最初から分かりそうなものです。
解体されることになった理由は、上記記事の続報を待たねばなんとも言えませんが、安藤忠雄はもともとそういう建築家なので我慢しなければならないとしても、コスト的なダメージは、かなりのもののようです。
私は実のところ、こういうものは面白いと思いますし、カネがあるなら、別荘に不便でも美しい建物がひとつ、あってもいいとは思います。
でも、今の余裕のない世の中には、デザインは実用的であってほしと多くの人が思うでしょう。それを考えました時、改めて、ジョブズという人物がいかに偉大だったのかを感じました。彼は、何百万という人々が理解できて、そして美しいデザインのものをつくり上げることに成功したのですから。
私がiPodを使ったとき、マカーがアップルコンピューターを絶賛する理由の一端を知った気になりました。直感的に早送りの方法が分かったからです。感動しました。この感動は、今でも記憶にとどまっています。
昔、柳宗悦(やなぎむねよし)という思想家は、「用の美」という概念を唱えました。
日常的な暮らしの中で使われてきた手仕事の日用品の中に「用の美」を見出し、活用する日本独自の運動。21世紀の現在でも活動が続けられている。簡素なデザインは"禅的"あるいは"日本人的"と言われることが多く、日本人建築家やデザイナーは、その文化的な背景を含めて世界から評価されています。それなのに、簡素な精神の背後にある"用"(よう)がないがしろにされるのは、いかがなものでしょうか。
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