いろいろと案が現れては消え、現れては消え。
ボツ案のうちの一つで、ある程度設定まで考えたものがある。今さら何を恥じることもないので、簡単に紹介してみる。
そのタイトルは、
『かりに、ゲーム製作に望みをつなぐ素人がノイマンの「ゲーム理論」を学んだら』
であった。ちなみに、『かりゲー』というタイトルまで考えていた。
……いやぁ、恥ずかしいですね。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』
の完全な二番煎じだ。
しかも、思いついたのは2年前にさかのぼる。
★ 電子出版と金融自由化
ネタなんて、いくらでもみつかります。
たとえば、『万が一、ブラック企業に勤めるゲームオタクが、ゲーム会社に転職しようとしてノイマンの「ゲーム理論とその実践」を読んだら』のような企画は、瞬間的に思いつけますよね。
ネタは見つかったけれども、それを形にするのは難しい。とりあえず、上のタイトルは長すぎるだろうと思って、短くした。それから下のようなストーリーを考えた。
投資用マンションを販売するブラック企業での営業職として働くダイスケは、要領が悪いために周囲から疎んじられながら、毎日汗だくで飛び回っている。朝は7時に出社、夜は終電で帰宅する毎日。残業代は出ない。
彼の唯一の趣味が、ゲーム。それもRPGのようなまともなゲームではなく、スマフォで簡単に遊べるソーシャルゲーム。毎日の出勤時間、寝る前の30分の時間を惜しんで、ゲームをするのが楽しみだ。パズドラにはまってしまい、課金地獄に陥ったこともある。
ブラック企業に嫌気がさしたダイスケは、会社をやめようと考える。今度こそ好きなことをしたいと思った彼が考えたのが、ゲーム制作。ゲーム会社に転職するか、自作ゲームアプリで一発当てるか? とりあえず、本屋でプログラミングについて学ぼうとするが、どれも難しくて歯が立たない。
(基礎的な理論から学ぼう)
と思ったダイスケは、本屋の店員に、
「すみません、基本的なゲーム理論について書かれた本はありますか?」
と尋ねる。
店員が持ってきたのが、フォン・ノイマンの『ゲーム理論とその実践』だった。
「作者は、コンピューターを発明した人です」
という店員の言葉を信じて本を読み始めた彼は、やがて失望する。ゲーム開発の本ではなかったからだ。
だが、ダイスケはやがて、ノイマンの思考法にのめり込んでいく。「ゲーム理論とその実践」に書かれているのは、徹底的な合理主義にもと付いた人間関係の操作法だった。
彼は、ゲーム理論に従い、同僚の彼女を奪い、会社の人間関係を操り、最終的には社員同士の殺しあいに発展させる……。
設定は、それなりだと思う。
世間はそろそろ、もしドラのことを忘れつつある。だからこそ、二番煎じが新鮮な驚きをもって迎えられるはず。とりあえず、電子書籍にこのタイトルがあれば、騙されて買ってみようと思う人が大勢いるかもしれないと思ったのだが……。
ゲーム理論について書かれた本を数冊読んだのだが、ゲーム理論を使ったうま殺人方法が思い浮かばなかったのだ。
フォン・ノイマンのゲーム理論とは、複雑な人間の選択という行為を単純化し、数式で分析できるようにした画期的な方法論ではあるが、それと、人々の感情を操作して、他人を自由に操作する方法が結びつかなかった。
いや、結びつかないどころか両者は相反する観念であり、よって企画倒れに終わったのである。
残念。
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