アメリカの作家900人が"反アマゾン"を表明したという記事を読みました。
★ 作家900人が“反アマゾン”表明
記事によれば、アマゾンに対立している出版社に対し、アマゾンがあの手この手で妨害を仕掛けていることに対して、アメリカの人気作家達がニューヨーク・タイムズで"反アマゾン"の意見広告を出したそうです。
アメリカでもひそかに反アマゾンの機運が高まっているのでしょう。
実際のところ、アマゾンのやって来たことは作家にとって害となることばかり。整備された中古本市場は、ブックオフなどの大手中古書店以上に、新書の販売に悪影響を及ぼしました。
「印税率の高い電子書籍は作家にとってもプラスだ」
という主張は、
「電子書籍は安くでしか売れないし、そもそも売れない」
という事実の前で力を失いつつあります。
そんなわけで作家からも支持を失いつつあるアマゾンなのですが、今回の勝負、作家が勝てる見込みは薄いのではないかと思います。現代は消費者尊重の時代。生産者側の主張は無視されて、いずれアマゾンに軍配が上がるのではないでしょうか。
こうした時代の風潮はいかんともしがたいのですが、アマゾンの事業拡大と、それにともなう書く影響をみていますと、いずれ現れる「ディストピア」(暗黒郷)が想像できてしまいます。
企業の上層部だけが儲かり、残りの人々は低賃金でシステム保守、運送、物流管理などの作業に従事するアマゾン社。
アフィリエイト収入のパーセンテージも、アマゾンは年々下げ続けていますから、インターネットで設けていた人々も、いずれ立ち行かなくなるかもしれません。
出版社や作家はのきなみ収入が激減し、アマゾンの注文に応じたものを製作するだけ。
書店はつぶれ、心ある出版社もほとんどつぶれ、アマゾンではそうした出版社の書籍が絶版書として高値で取引されています。あるいはアマゾンが、印刷して消費者に届けます。
つまり、書店や取次といった仲介業が軒並み潰れ、出版社や作家といった生産者も力を落とし、消費者とアマゾンのみが生き残った世界です。
こうした動きは世界中で起きています。
消費者は生産者として収入を得る立場でもあるのです。彼らが収入の道が立たれてしまいますから、勝ち残った企業がいくら安くで商品を提供しても、生活は厳しいものとなるでしょうし、勝ち残って価格操作能力を得た企業は、消費者を生かさず殺さず、微妙な値付けで利益の最大化を図ることでしょう。
消費者を騙したマクドナルドのように、生産者側に偏りすぎてもいけませんが、かといって消費者側に偏りすぎても、社会にとって悪影響。中継ぎが省かれてもそこは誰も埋められず、少数の資本家と消費者がいるだけ。その間の格差は広がり、社会が不安定化するだけです。
アメリカの作家たちの抗議に、影響力があればいいのですが。
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