「クジラを食べる日本人は残酷だ」
と唱える白人どもに、ひたすら嫌悪感を抱いていた。
当時、日本人はエコノミックアニマルと呼ばれ、欧米人から目の敵にされていた。有色人種への偏見が今以上に強かった時代、白人よりも劣っているはずの黄色人種に経済規模で追い越されようとしていることが、単純に許せなかったのだろう。
欧米で日本人がどう批判され、どう侮蔑されているか。日本のマスコミは欧米の日本観を丹念に救い上げてよく特集を組んでいた。反捕鯨運動が、日本人野蛮説を補強するのに格好の材料となっていることも、そこで知った。
そもそも反捕鯨運動は、ベトナム戦争で世界から批判を受けていたアメリカが、自国のイメージアップのためにおこなったキャンペーンの一環であることはよく知られている。
つまり、自国のイメージアップのために、
「アメリカは環境保護運動に熱心なエコ大国である」
と世界に訴える戦略をとったのだ。その象徴として、反捕鯨が利用されたのだ。
だから、捕鯨に賛成であり、日本の文化を欧米人の偏見から守るという同じ流れで、和歌山県太地町の人々のイルカ漁がシーシェパードから邪魔されていることに憤慨をしていたものだ。
だいたい、クジラの肉はとても栄養価が高く、疲労回復のためにはウナギよりも適しているとも言われている。
クジラの多くは、半年間をエサ場である高緯度の冷たい海で過ごし、繁殖期になるとエサ場から数千キロも離れた暖かい海へ移り、ほとんど餌をとらずに子育てをする。半年も絶食状態で出産し、そのまま数千kmも不眠で泳ぎ続ける驚異的なパワー。そのパワーの源ではないかとされているのが、クジラの特有成分「バレニン」という抗疲労成分だ。バレニンは、クジラの赤身に含まれている成分で、体脂肪を効率よく燃焼させ、疲労予防・疲労回復の効果を持つ。最近では、バレニン成分を含んだサプリメントも販売されている。 ――【iWire】クジラ肉に含まれる意外な成分とは!?(共同通信提供)より――
この栄養素に築地場外市場にある鯨料理専門店「鯨の登美粋が注目して、妙な商品を開発した。
店先で売られている「くじらアイス」には、粉末状にしたバレニンと黒ごまをミックスしたくじらパウダーがふりかけられている。一個500円と、それほと高くはない。
9/3には東京の巣鴨で「第二回巣鴨くじら祭り 」が開催される。巣鴨近辺の60歳以上の女性が「クイーン」として選出される「すがもクイーン決定戦」という、誰得のイベントも開催予定だという。
以上、インフルエンサーワイヤー(iWire)より
かように、日本にクジラ食は根付いている。それを欧米の文化で野蛮だと蔑まれてはたまらん、という思いでいたのだが……。
このところ、イルカの可愛い動画をYouTubeで観るようになって、考えが段々と変わってきた。
やっぱり、イルカは可愛い。人間を臆せず、人間に寄ってきて、ひたすら「遊ぼう、遊ぼう」と言ってくる。
こんな愛しい存在を殺して食べるのは、どうかと思うのだ。
人間のエゴではあるけれども、イヌ好き、ネコ好きは、イヌやネコを食べる文化を許容できないだろう。同じく、イルカに親しみを感じる人々は、イルカ漁を肯定はできまい。イルカの可愛さを知った私は、イルカを殺して食べるのに、抵抗を感じるようになった。
それに、ここ20年ほどで、欧米人の偏見はかなり改善された。日本人が馬鹿にされることも、20年前に比べると格段に減っている。むしろ、リスペクトされていると思えることの方が、大きい。
彼らも変わったのだ。そろそろ、日本も変わってもいいのではないか。鯨食文化をやめてもいい頃合いじゃなかろうか。
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