2014年8月4日月曜日

子供に読ませたい児童文学

子供の頃に夢中になった本のことを思い出すことはこの年になるとほとんどありませんでしたが、「子どもを読書好きにするおすすめ本!大人も楽しめる厳選11冊ご紹介!」という記事を読みまして、久々に、昔夢中になった児童書のことを思い返しています。

記憶は年々薄れていきます。今のうちに、私が昔ワクワクしながら読んだことがあり、将来いずれ生まれるであろう子供に読ませたい本をリストアップしてみることにしました。

1.『二分間の冒険』

まずご紹介したいのが、私が読んで今までで一番感動した、最高の児童書です。

小学生中学年の頃にこの本をたまたま本屋で買ってもらい、その幸運にどれほど感謝したことか。

主人公の悟(さとる)は、ダレカと自称する黒猫によって、異次元の世界へと連れて行かれます。そこは竜が世の中を支配する世界であり、悟は恋愛、別れ、戦い、冒険を経験します。

大人でも読めば感動するでしょう。そして、子供の頃に読めば良かったと、悔しがるはずです。

あまりに好きすぎて、社会人になってから、作者の講演会を聞くために、電車を乗り継いで往路2時間の会場へ出向いたことがあります。

地方都市で図工教師をするかたわら、ファンタジー作家としても活躍する岡田淳さんは、関西弁の気さくな人物でした。この人には、もう一冊『扉のむこうの物語 (名作の森) 』という素晴らしい作品があります。


2.『西遊記』

知らない人はいませんよね。

抜群に面白い作品で、とある日本の文豪が、西洋人と対談した時に、
「西洋には『西遊記』がない。あんなにおもしろい作品を味わえないあなた方は不幸だ」
と言い放った、という話をどこかで読んだことがあります。

私が読んだのは上記で紹介している君島久子訳のもの。

当時、彼女の翻訳は言葉が難しかったのですが、あまりに面白くてそこを読み飛ばして読み進めました。そして、何度も読むうちに、難しい言葉をすべて覚えてしまいました。

お子さんに言葉を教えたいのならば、ぜひ君島久子訳のものをオススメします。


3.『だれも知らない小さな国』

コロボックルシリーズ。これも大好きでした。

作者である佐藤さとるの分身と思える「せいたかさん」が、人間から隠れながら生活しているコロボックルの人間側の協力者として、彼らの生活を守る様子にハラハラします。

私、小学校高学年までは、コロボックルが本当にいると思いまして、いずれ佐藤氏に会って、コロボックルに会わせてもらおうと本気で思っていました。

現実と虚構をうまくミックスさせるところがとてもうまく、読み飽きない作品となっています。

この記事を書くにあたって、彼について書かれたサイトをいろいろと散策したところ、なんと『図書館戦争』でお馴染みの有川浩が、佐藤さとるのあとを引き継いで、コロボックルシリーズを再開させるのだそうです。

有川浩は、私の中高時代のバイブルである『妖精作戦』のオマージュも書いていますし、趣味が共通しているのが嬉しいですね。


4.『十二歳の合い言葉』

子供の頃に読んで、引きこまれた少女向けの児童文学です。何よりも美しい表紙に心惹かれます。

そして、中に描かれる少女同志の友情がまた、とても美しいのです。


5.『少年釣り師・近藤たけし』(日比茂樹著)

この本を知っている人は少ないでしょう。

逆さから読むと「しけたうどんこ」となることにコンプレックスを感じている主人公は、趣味である釣りを通して、様々な人々と交流を深めながら大人になっていきます。

軽妙な文章がおもしろくて、これも何度も読み直しました。


6.『ぼくらは海へ』

那須正幹さんといえば、『ズッコケ三人組シリーズ』で有名ですが、それだと有名すぎて面白くないので、彼の作品であまり知られていないものを紹介します。

記憶を頼りに書くので間違っているかもしれませんが、大きな木材をたまたま手に入れた少年たちが、ヨットを作ることを計画したのがこのストーリーの発端でした。

ところが素人なものですから、すぐに壊れますし、作ってみても進みません。

船の仕組みを学びながら、ヨットを作り上げていきます。しかし、抜けるもの、再び挑戦するもの。たしか、1人事故にあうんじゃなかったかな。彼ら一人一人は家庭にいびつな歪みがあり、それぞれ陰を背負いながら、それぞれの思いをヨットに託す、という話です。

何度も読んだはずなのに、覚えていないところがありますが、当時読んでいる間は幸福だった子を覚えています。

スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』を彷彿とさせる話なので、あの雰囲気が好きな人にとってはたまらない作品でしょう。


7.『日本宝島』

これも知らない人が多いでしょう。

小学校の図書館に、かなり分厚いこの本が、ででんととても目立つ場所に置かれていました。たぶん、司書にこの本のファンがいて、子供たちに読んで欲しいとおもって老いていたとおもうんです。

でも、表紙がやたらとポップで下品(と、子供には思えました)で、表紙からは何も読み取れません。
上記で紹介した表紙よりも、もっと単純なイラストだったような気がします。

だから、長い間食わず嫌いで読まなかったのです。あと、スティーブンソンの『宝島』が面白かったので、
(どうせそのパクリだろ)
と子供ながら思い、反感を覚えていました。

卒業間近でしたか、小学校の図書館にあった面白そうな本は、江戸川乱歩から坪田譲治までほとんど読み終えたので、最後に残っていたこの本をしかたなしに読み始めました。

いやあ、そしたらページをめくるのが止まらない、止まらない。

もっと早く読めばよかった、そうすれば何度も読めるのにと思いながら悲嘆に暮れたのを覚えています。

8.『カムイの剣』

これを児童文学に入れていいのかどうか迷うところでしたが、とにかく面白いので、子供のころに夢中で読んだ作品です。

あの星新一が、この本を激賞して、日本人が書いた冒険小説のベスト・ファイブだと言ったそうです。それほど優れている本ですが、あまり知られていませんな。

涙あり、恋愛あり、冒険あり。男の子なら誰もが夢中になる本だと思います。

なんといいますか、とにかくスケールが大きいです。


9.『星虫』


これも、児童文学に入れるべきかどうか迷いましたが、今のライトノベルに比べると、恋愛も可愛く幼いので、お子さんにも安心して薦められるのではないかと思いまして、ランクインさせました。

子供に本を進めるときには、人が大勢死んだりしないもののほうがいいですよね。

もちろん、お子さんによって異なると思いますが、私の知り合いに、子供の頃にノストラダムスの大予言を教師から教えられて、それ以来うつ病になったというのがいましたので、感受性の強い子供にあまり残虐なものは見せない方がいいのかもしれません。

その点、この星虫は、高校生が主人公でありながら、健全で清潔な美しい関係を保っており、なおかつアクションとしても最高の作品となっています。





以上となります。とりあえず、ご参考まで。

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