別に意中の女性や絶世の美女からでなくとも、異性から好まれているというだけで私は嬉しい気持ちになるし、たいていの男性はそうだろう。
とはいえ、なかには偏狭な男性もいるのはたしかだ。好きでもない女性、気に入らない女性からチョコレートをもらうことを嫌がり、それを露骨に顔に出す男もいる。性格が悪い奴らで、まともじゃない、と思う。
……とはいえ、そういう自分は果たしてまともだろうか? と下記の記事を読んで考えた。
★ 同性カップルに結婚相当証明書 東京・渋谷区
東京・渋谷区は、同性のカップルに「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する新たな条例案をまとめ、来月の区議会に提出することになりました。同性愛を異性愛と同じように認め祝福するのが欧米先進国のトレンドだ。同じ文明圏に属する日本でも、これがやがてスタンダードになるのだろう。
区は証明書を持つカップルを結婚と同等に扱うよう区内の事業者などに求める方針で、条例が成立すれば全国でも例がないということです。
さて、そのときに、たとえばバレンタインデーで、私が男性からチョコレートをおおっぴらにもらうことが数年後には当たり前になるのかもしれない。そう考えたときに、正直生理的な嫌悪感を感じた。ホモからチョコレートをもらうなんて!
ふいに、昔観た映画を思い出した。
あれはテレビドラマだったかもしれない。
アメリカの白人老夫婦の偏見がテーマだ。彼らは今でも人種差別を当然と思う、古い南部の田舎町に住んでいる。同じような価値観を持つ老人同士で意気軒昂に黒人差別で盛り上がる。現実に彼らが黒人を侮辱する行為に出ることはない。その場所はあまりに田舎なので黒人がいなかったため、それが通用していただけなのだ。ところがとうとうこの街にも黒人が移住してくるようになった。
そこで悲喜劇が起こるのだが、主人公である老夫婦も、やむを得ず黒人とつき合わざるを得なくなる。そしてある事件(なんだったか忘れた)をきっかけに、夫は黒人差別が間違っていることを悟る、というストーリーだ。
ところが、白人夫婦の改心で終わらないところが、この映画の良さだった。最後が秀逸だった。
夫の価値観の変化に戸惑いながら、「夫に妻は従うもの」という古い価値観にしたがい、妻は今度は黒人差別を一切口に出さなくなる。そして黒人に寛容であるようふるまおうと努力する。ところが、最後になってそれがどうしてもできず、彼女は涙を流しながら訴えるのだ。
「黒人差別が間違っていることは頭では分かっているの。でも、生理的に無理なの!」
……
よく、
「嫌なものは嫌なの!」
と自分の感情を変えないことを正当化し、感情を抑えることに徹底的に反対する人々がいる(女性に多い)。上記の白人の老婦人もそうだったのだろう。しかし、この生理的な嫌悪感や感情がどれほど純粋なものであろうとも、正しくないものは正しくない。
キアヌ・リーブスが、かつて、
「あなたは同性愛者ですか?」
と尋ねられたときにこう返したという。
「僕がその噂を否定するのは簡単だ。けれどそんなことをすればこれを2ちゃんねるで読んだときにカッコイイな、と思ったが、これからはこれを私達の公式な態度にしなければならないのだろう。同性愛への嫌悪感を示すこと自体、恥ずかしい行為だと認識して、決して口にせず、差別の輪に加わらないような態度だ。
僕はゲイやバイセクシャルの人間であると思われたくないということになるだろう?
それはひとつの差別意識の表れだよね。
ゲイだと思うなんて酷い、バイセクシャルの人間だと決めつけるなんて失礼だ
とそんな風に考えること自体が、実はひどく差別的なんだから。
セクシャリティにかかわらず、僕は僕だよ。
僕の俳優としての評価は、セクシャリティとは無関係だ。
だからその質問に対する答えはたった一つ、『ノーコメント』だよ」
キアヌは差別意識すら否定したが、生理的な嫌悪感、嫌だと思う感情を持つことまでも禁止するのはもはや自由意志の否定だと思うからそれには反対だ。しかし、それを外に出すことが許されない時代は、すぐそこまで来ている。
それに対応できない人間は、セクハラで捕まる老年オヤジのような末路を、これから数年後に迎えるのではないだろうか。そして、差別意識を有したままで態度だけを改めようとしても滲み出てくるのを止めるのは至難のわざだから、それなら意識を変えた方が手っ取り早い。
バレンタインデーでチョコレートを男からもらうことを想像して、生理的な嫌悪感を抱いている男性諸氏は、今のうちから自分を訓練しておいた方がいいかもしれない。
少しずつ自分を変えていき、同性愛者をからかうジョークの輪から一歩身を引き、嫌悪感を外に表さない訓練を少しずつ続けるのだ。
数年経てば、行動が変わり、やがて感情が変わる。生理的嫌悪感を抱くことはなくなるだろう。男性からチョコレートをもらっても、ただ、
「ありがとうね」
と言って笑って感謝することが、自然に出来るようになるのではないか。
バレンタインデーでチョコレートを男からもらうことを想像して、生理的な嫌悪感を抱いている男性諸氏は、今のうちから自分を訓練しておいた方がいいかもしれない。
少しずつ自分を変えていき、同性愛者をからかうジョークの輪から一歩身を引き、嫌悪感を外に表さない訓練を少しずつ続けるのだ。
数年経てば、行動が変わり、やがて感情が変わる。生理的嫌悪感を抱くことはなくなるだろう。男性からチョコレートをもらっても、ただ、
「ありがとうね」
と言って笑って感謝することが、自然に出来るようになるのではないか。
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